今日も時間がないので、極極々簡単に…

10月8日、国連予算の分担率の改訂で、中国の負担が大幅に増える見通しとなったことについて、中国の王民・国連次席大使が反対したと報じられています。
これは国連が3年に1度改定しているもので、国民総所得(GNI)などの経済指標を基に決定されるのですけれども、先進国はさらに重く、発展途上国はより軽くする措置が取られます。
今回改定するのは、2016年から2018年の分担率で、8月に行われた国連分担金委員会の試算によると、中国は、これまでの5.15%から7.92%にアップするようです。因みに日本は、分担率が下がり、世界2位ながら、これまでの10.83%から9.68%に下がる見込みとしています。
国連の予算は、2014年で26億ドルで、2016年は28億ドルとのことですから、中国の分担率が7.92%に上がると、額としては1.31億ドルから2.21億ドルと1億ドル近い増額になります。
まぁ、彼らが世界2位だと嘯く経済規模からいえば、分担率引き上げも当然だと言えます。
けれども、これに対して中国の王民次席大使は、「中国を他の発展途上国と区別することに反対する。わが国の支払い能力を超えた計算方法は受け入れられない。中国は経済規模が大きいが、1人当たりに換算すれば正真正銘の発展途上国だ。中国の支払い能力はここから評価する必要がある」と反対しています。
まぁ、いつものことですけれども、彼らは、都合が悪くなると、発展途上国面して逃げを打つ。そのくせ、中国は自らぶち上げたAIIBの資本金1000億ドルのうち、およそ29.8%に当たる297.8億ドルを供出するのです。
AIIBに297.8億ドルを払えるのに、その100分の1にも満たない2.21億ドルは国連に払えないと嘯く。全く御都合主義も甚だしい。そんなのは、AIIBへの供出金を1%減らせばいいだけのことですね。
もっといえば、先日、習近平主席が訪米した折、ロッキード・マーティン社の旅客機300機を発注したり、インドネシアの高速鉄道建設プロジェクトにも、建設費持ち出しで受注しています。まぁ、内実はどうか知りませんけれども、傍からは、とても金がないようには見えないですし、GNIも「公式発表」どおりなのだろうと見做されるのがオチですね。
これらを見ても明らかなどおり、ここのところ中国は、相手国の頬を札束で引っぱたく、"札束外交"を行っています。ただ、こういう"金にものを言わせる"やり方は、見せびらかすほどの金がないと始まりません。実際に頬を引っぱたいて見せるだけの札束を用意しないと駄目だということです。
けれども、今の経済は、信用経済ですから、"頬を札束で引っぱたく"には、きちんと契約を最期まで履行しなければなりません。相手の頬を引っぱたいた札束が、"新聞紙"だったら、引っぱたいたことにはなりませんからね。
経済規模が大きくなり、一回の契約額が大きくなればなるほど、その契約を完遂するまでの期間は長くなりますし、一度に全部支払うという訳にもいかなくなってきます。それを担保するのが、「契約を守る筈だ」という"信用"なのですけれども、中国にそれだけの信用があるのかどうか、怪しいところがないとは言えません。何せ、あれだけパクリや偽物商品が横行する国ですからね。
確かに、契約も一回限りのものであれば、嘘でも誤魔化しでも、"奪ったもの勝ち"でいけるかもしれません。けれども、当然、その分だけ信用は無くなります。二度目はありません。
ロッキード・マーティン社に300機の旅客機を発注した件でも、蓋を開けてみたら実は30機でした、なんてことになったとしたら、ロッキード・マーティン社に少なからず損害を与えることになります。発注を受けたロッキード・マーティン社にしてみれば、300機を完納するまで生産ラインを維持しなくてはなりませんし、300機分の資材調達の段取りを組んでおかなくてはなりませんからね。
それを途中で、一方的に反故にされたら堪ったものではありません。まぁ、実際はロッキード・マーティン社も、相手は中国だからと、少しづつしか作らないなどリスク管理するのではないかと思いますけれども、それならそれで、既にこの時点で信用されていない訳です。
金があるうちは、思い通りに相手の歓心を得ることができたとしても、その金がなくなったら、「金の切れ目は縁の切れ目」とばかり、あっという間にいなくなってしまうのが普通です。要するに、信義無き金だけの付き合いは、金がなくなったらそれで終わりだということです。
先日、中国の外交トップである楊潔篪国務委員が、訪日して谷内正太郎国家安全保障局長と会談していますけれども、日本と関係改善をして、AIIBを始め日本の投資を取り付けたい目的があるとも言われています。
もしそうであれば、中国は傍から見るほどには羽振りが良くないのかもしれません。
信義なき"札束"は、一歩間違えば転落の危険と隣り合わせです。逆に、日本はそこを突くことを考えるべきだと思いますね。
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almanos