今日はこの話題です。

10月13日、沖縄県の翁長知事は普天間の辺野古移設で、公有水面埋立法に基づく辺野古の埋め立て承認に瑕疵があったとして承認取消手続きを行いました。
取消しの理由は、自然環境破壊と騒音被害、基地負担の固定化などの観点から、辺野古沖の埋め立ては、公有水面埋立法が規定した適正で合理的な国土利用との要件を満たしていないことと、辺野古沖周辺の生態系保護など環境保全措置も不十分だということのようです。
公有水面埋立法とは、国が所有し公共に用いられる河川・海・湖・沼などの公有水面の埋め立て・干拓に関する法律で、埋め立てを行うには都道府県知事の免許が必要であることや、漁業権者などへの補償、埋め立て後の土地の所有権取得などを規定しています。
特に、辺野古沖のように漁業が行われている海域は、水産資源を守る観点から、県漁業調整規則に基づく岩礁破砕許可が求められます。つまり、辺野古移設には、埋め立てに関する県知事の許可と、岩礁破砕許可の二つが必要になるということです。
これら2つの許可について、仲井真前知事は、2013年末に埋め立て承認。2014年8月に岩礁破砕許可を出していました。
けれども、翁長知事は今年3月に岩礁破砕許可の取り消し指示を出し、今回、埋め立て承認を取り消したわけです。
このうち、前者の岩礁破砕許可の取り消しについては、防衛省が、水産資源保護法を所管する林芳正農林水産相(当時)に行政不服審査を申し立て、「普天間飛行場周辺の危険性や騒音の継続」や「日米の信頼関係への悪影響」を理由に防衛省の主張を認め、効力を停止させています。
そして、今回の埋め立て承認取消しについても防衛省は、14日、石井啓一国土交通相に取り消し処分の効力停止と処分の取消しを求める行政不服審査を申し立てしました。
防衛省は、仲井真前知事による承認に不合理な点はないこと、嘉手納基地以南の返還など基地負担軽減を着実に実施していること、ウミガメやジュゴンなどの保全に万全を期していることを理由に取り消し処分は違法だとしています。
国土交通省は、これを受け、翁長知事に執行停止の申し立てに対する意見書を今月22日までに提出するよう通知し、その後すみやかに判断するとしています。
今のところ、防衛省の申し立ては認められると見られていますけれども、国交省が執行停止を認めた場合、県は執行停止の無効を求める訴訟を起こすことを検討しているそうです。全面対決の様相を呈してきました。
こちらに、取り消しについての翁長知事の記者会見が掲載されていますけれども、一言でいえば、「沖縄の民意を無視してる」という主張だと思われます。
けれども、翁長知事の意見が完全に沖縄の民意なのかというと、そうとは言い切れません。確かに知事選で、翁長氏は仲井間氏に10万票の大差をつけて当選しましたけれども、得票率では51%。しかも、無党派層に支持されての結果です。少なくとも、自民公明支持層の多数は仲井間氏を支持していた。これで翁長氏が"オール沖縄"の支持を得たというのは、少々強引ではないかと思いますね。
こちらの八重山日報でも述べられているように、昨年の衆院選では、小選挙区で野党が全勝する一方、自民党候補らは比例で復活。結局、小選挙区の立候補者計9人が全員当選しているんですね。この結果について、八重山日報は、「県民は小選挙区では県内移設反対派を、比例では容認派を勝たせるバランスのいい選択をした」と評しています。
もしも、"オール沖縄"が辺野古移設反対であれば、移設容認派を比例復活させることはない筈です。けれれども、翁長知事は沖縄県民全てが移設反対であるかのように発言している。これはミスリードにも成りかねないと思いますね。
けれども、現実にはこれがまかり通ってしまっている。そうなってしまう一因として、やはり沖縄のマスコミの力もあると思うんですね。
先の八重山日報の記事で指摘しているのですけれども、先の衆院選について、琉球新報は「沖縄野党が全勝」、「『辺野古反対』民意再び」の見出しを打ち、また、沖縄タイムスは「反辺野古4氏当選新基地推進政権に打撃」という見出しで記事を出し、「小選挙区で野党が全勝し、県内移設反対の民意が知事選に続き示された」としたのですね。
小選挙区で野党が全勝し、小選挙区で敗北した与党候補が比例で全員復活しているのですから、その民意は、八重山日報が評するとおり、野党を第一としながらも、与野党の支持全体でみれば、五分五分とみていいと思われます。つまり、「沖縄の民意は辺野古反対一色」とは言えないということです。
産経新聞編集委員の宮本雅史氏は、かつて沖縄に在住していたときの体験を記事にしているのですけれども、それによると、「琉球新報」と「沖縄タイムス」の二紙には、1年を通して米軍基地反対を訴える記事が載らない日はなく、偏向報道を超えて、恣意的な世論操作ではないかと感じたそうです。
また、辺野古移設についても、地元の移設容認派はスルーして、反対派の集まるテント村だけ取材にいき、初めから反対ありきだったと述べています。
選挙で五分五分であったのに、辺野古反対だと強弁し、移設容認派の声は無視して伝えない。これらをみる限り、琉球新報や沖縄タイムスは、やはり偏りがあると言わざるをえないと思いますね。
ただ、ここにきて、流石に、その琉球新報や沖縄タイムスにも批判の声が集まっているらしく、沖縄タイムスは、10月16日、「沖縄2紙攻撃 先鋭化」という記事を出しています。しかも、3面あたりのベタ記事ではなくて、1面トップです。よっぽど批判が集まっているのでしょうね。
沖縄タイムスは、自分達への攻撃を"先鋭化"などと評していますけれども、先の産経の宮本編集委員のいうように、「1年を通して米軍基地反対を訴える記事が載らない日はない」のであれば、そちらのほうがよっぽど先鋭化していると思いますね。
第一、沖縄タイムスや琉球新報が民意を反映しているというのなら、"先鋭化"するほどの攻撃など受ける筈ないですね。
自身への攻撃を"先鋭化"などとレッテル張りする前に、辺野古移設反対派のテント村だけ取材して容認派を無視するような報道姿勢を取っていなかったかを真摯に振り返って反省すべきだと思いますね。
先の国連での翁長知事の民族自決権発言といい、流石にここ最近の翁長知事の反政府、反日言動には目に余るものがあります。そうしたことを批判することもせず、翁長知事を擁護し、辺野古反対だけを言い募るのであれば、琉球新報や沖縄タイムスは、売国メディアとして広く知られていくのだろうと思いますね。
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