今日はこの話題を極々簡単に…

10月23日、中国の習近平主席がイギリスでの公式訪問の日程を終え帰国しましたけれども、習主席を迎えたイギリスの"歓迎"ぶりが話題になっているようですね。
習近平主席はイギリス上下両院や公式晩餐会、金融センター・シティなどで演説を行いましたけれども、議会演説では、イギリス議員からの拍手が一度もありませんでした。
議会演説では、第二次大戦で中英両国が「抗日戦争に協力した」ことなどを挙げ、「中英友好と世界正義に尽力した人たちの歴史は、忘れられることはない」といい、公式晩餐会でもその話題を取り上げたそうですから、その空気の読めなさぶりは筋金入りです。
まぁ、そんな話を聞かされるのなら、拍手などなかったのも、むべなるかな、と思わなくもありませんけれども、キャメロン首相は議会演説中は同時通訳機をつけなかったそうですから、初めから聞く気すらなかったのかもしれません。
そして、シティでの演説で出席者が居眠りをしている写真が翌日の紙面を飾り、それどころか、両首脳が議会のトイレの前で懇談する写真まで出回る始末です。
まぁ、高級レストランで、トイレの前の席に案内されるという意味は言わずもがなですけれども、パリの近代美術館「ポンピドー・センター(Pompidou Centre)」の高級レストラン「ル・ジョルジュ」に勤めていたウェイトレスによると、見目が良いと判断された客は入り口近くの目立つ席に案内され、良くないと判断された客は奥の人目に付きにくい席に案内するという規則があったそうです。なんでも、この規則を破ると「何を考えてるんだ?あのテーブルにあんな不細工がいたら、店に入って来る他の客の目に付くじゃないか」などと店から罵倒されたそうですから、まぁ、そういうことですね。
こうしてみると、イギリスは、表向きの国賓待遇とは裏腹に本音では全然歓迎していないことは明らかです。
そういえば、先日訪米した習近平主席は、シアトルでの非公式ディナーで、大根や山葵など日本の食材をつかった料理をだされ、御丁寧にもメニューに「Daikon」、「Wasabi Rhizome Mashers」、「Edamame Relish」などと表記されていました。
独立総合研究所の青山繁晴氏によると、訪米で結果を出せなかった習近平主席は、失地回復のためにイギリスに近づいたということのようですけれども、アメリカで"ぶぶ漬け"を出された習主席は、イギリスでは"不細工"扱いされ、面子を潰された訳です。
そして決定的なのは、キャメロン首相との共同記者会見でした。
BBCの女性記者が「習主席、英国民は、民主主義がなく、不透明で人権に大きな問題を抱えた国とのビジネスが拡大することを、なぜ喜ばなければならないのでしょうか」と質問したのですね。
実にストレートな質問です。「炸裂するOINK」のエントリーでも触れましたけれども、イギリスにおいてBBCは圧倒的な信頼を得ています。したがって、その記者の質問にどう答えるかは、非常に重要なのですね。
キャメロン首相は苦い顔で「人権か、ビジネスかという質問の前提にはまったく賛成できない。5年、首相を務めて思うのは、両方が重要だということだ。 経済関係が強固になれば、双方の関係も深まり、それ以外の問題でも率直な議論ができるようになる」と答え、習主席は「われわれは現実に即した人権発展の道を見つけた。人権は大切であるが、世界を見渡せば、すべての国で改善が必要な状況にある」と逃げました。
イギリス人記者は「時間が限られているとはいえ、あまりにひどい内容だ。英国民の不安だけが高まった会見だと思う。おカネが欲しいあまりに、われわれは早くも中国化してしまったのか」と皮肉たっぷりに語ったそうですから、彼らは、金目当てで中国に近づいたと認識しているわけですね。
これは、裏を返せば、金以外のことは中国とは一線を画しているのだ、ということです。そう考えると、"居眠り"だとか"トイレの前で会談"というのが報じられるのも分かるような気がします。
キャメロン首相は、人権か、ビジネスの二者択一ではなく、両方大事だと答えましたけれども、これは、"金目当てだ"と白状しているようなものですね。
穿った見方をすれば、キャメロン首相は、そういう立ち位置でいることを示さないとイギリス国民から支持されないことを自覚しているとも言えます。
中国はインフラ建設などのビジネスを他国と結んでも、投資と一緒に中国人労働者を送りこんで、地元から全然雇用しない、なんてやり方をしますけれども、もしもイギリスで同じことをやったら、大変なことになると思いますね。
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古格