今日は雑談です。

イギリス訪問を終え帰国した、中国の習近平主席について、中国各紙はイギリス議会で演説したことや、キャメロン首相とパブでビールを飲んだことを紹介し、「蜜月関係を築いた」とか「中英の黄金時代はこれから始まる」などと、褒めたたえたようです。
けれども、あの「居眠り演説」だの「トイレ前会談」だの散々な仕打ちを受けて、蜜月などとは、まぁ、そういうしかないのかもしれませんけれども、正直苦しいですね。
黄金時代はこれからということは、今は黄金ではないわけですからね。これから何をどうしていくのかが見えないと、黄金もただの期待で終わってしまいます。
その意味でいえば、今見えているのは、原発建設の投資だけです。資金は中国からの持ち出しですけれども、それに見合った見返りを得たのかどうかは判然としません。
メディアでは、イギリスと親密ぶりを演出して「中国は孤立していない」と国民にアピールする狙いなのだ、という指摘もあるようですけれども、アピールと味方になってくれるかどうかはまた別の話です。
勿論、表に出した態度がそのままイコール本音だ、というケースもない訳ではありませんけれども、居眠りとトイレで迎えたイギリスの態度は、いうまでもなく本音と建前は違うということですね。
はたしてイギリスと中国の蜜月が本物なのかどうか。それは、これからをみれば分かることですけれども、その機会は意外と早くやってくるのではないかと思いますね。
アメリカの「航行の自由作戦」がそれです。イギリスはこれによって、ある意味、米中どちらにつくのかの踏絵を迫られるわけです。まぁ、お得意の二枚舌、三枚舌外交が見られるかもしれませんね。
航行の自由作戦については、既にいくつかのエントリーで取り上げたように思いますけれども、アメリカは着々と駒組みを進めています。
というのも、オバマ大統領が先日の習主席との首脳対談で対話に見切りをつけ、とうとう「航行の自由作戦」を承認したようなのですね。
何でも、9月24日、オバマ大統領は習主席を腹を割って話をつけようと、晩餐会とは別に、私的な夕食会を設け、南シナ海の人工島と、軍事施設の建設を止めるよう談判したのですけれども、習主席は鼻であしらって全く相手にしなかったそうです。
これで、オバマ大統領の堪忍袋の緒が切れました。夕食会後、即座にハリー・ハリス米太平洋軍司令官に「南シナ海での作戦を承認する」と通告したと伝えられています。
これについて、アメリカの戦略国際問題研究所シニアアドバイザーであるエドワード・ルトワック氏は「習氏との会談が決裂したことで、オバマ氏は中国に融和的な姿勢をみせても協力を得られないと悟った。米国の対中政策にとり、大きな転換点になるだろう。中国は墓穴を掘った」とコメントしています。
エドワード・ルトワック氏は近著「自滅する中国」で知られた著名な歴史家ですけれども、筆者も2014年1月のエントリー「沈黙の東南アジアと自滅する中国」で取り上げたことがあります。
筆者はこのエントリーで、中国は日本を世界から孤立させ、世界を中国の味方につけるために、日本以外の国に対しては、「金」をばらまき、価値観レベルでは自分以上に「嫌われる存在」として日本を仕立て上げるために、第二次大戦を持ち出して貶めてくるだろうと予測しましたけれども、これは正に今、中国がやっていることですね。
けれども、それは思ったような効果を上げていない。それどころか日米同盟はより強化され、東南アジア諸国は中国への警戒を顕わにしています。
現状は日本を孤立に追いやる積りが、逆に自分が孤立してしまっている。
やはり中国は、ルトワックの指摘するとおり、中国の「自滅への道」に向かっているのではないかと思いますね。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
オバマが戦争を始めるのは米国の歴史に従っているが,
実際に国を破壊されるのは日本であることを
良く理解しておく必要がある.
場合によっては東京に核が落ちることもある.
我々はそれを理解しているのだろうか.
私は核が落ちるからと言って支那に宥和すべきでないと思う.
必要なのは, 我々は再び戦禍の中から立ち上がることを
求められるかも知れないと言う覚悟だろう.
必要な対策は色々とあるだろうが,
今一番にも必要なことは,
子孫を残す可能性のある皇族や元皇族を
緊急避難させるシステムを準備することだろう.
日本人の半分が死んでも天皇が残る限りは
大丈夫だろう.
sdi
恐らく、国内から見たら「正しい」と思われる方向に動いているのでしょう。それが、中国以外から見たら「何をやってるのだ?」「どこに行くつもりなんだ?」としか見えないのではないでしょうか?
さらに言えば、中国共産党党中央は西側社会の「戦略家」「アナリスト」達とは、まったく別の判断基準をベースに行動している可能性があります。例えば「戦争論」VS「孫子」のような。
その場合、西側(我々も含む)の判断基準とペースが異なるわけです。ですから、即断は及び希望的観測に陥らないように用心する必要はありますね。
ポール