公海と同盟

 
今日も極々々簡単に…

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「航行の自由」作戦が進行しています。

10月28日、アメリカ駆逐艦「ラッセン」が、フィリピン、ベトナムの実効支配下にある岩礁など計4ヶ所の「領海」内も同時に通過していたと当局者が明らかにしました。

中国が主張する島だけではなく、フィリピン、ベトナムの実効支配下の島の12海里以内に侵入したことで、今回の「航行の自由」は中国だけを狙い撃ちにしたわけではない、とアピールしたということです。

無論、フィリピン、ベトナムには事前に話を通してのことでしょうけれども、この作戦のキモはやはり、「公海」であるという世界観を持ち出した上で構築されていることでしょうね。

公海ではどの船も自由に航行できることが原則ですし、戦略の階層風にいえば、領海より少なくとも一段以上高い階層にあることは間違いありません。戦略の階層は上にいけばいくほど抽象度が上がっていきますけれども、その分、いろんなものを包含していくことが可能になるという意味では、戦争はもとより外交の部分でも大事な考え方だと思いますね。

中国は強烈な抗議と口では言っていますけれども、現時点で強烈な抗議も、強力な反撃もありません。

アメリカ当局者は「ラッセンがスービ礁に接近した際、警告も交信もなかった」と述べたそうですけれども、独立総合研究所の青山繁晴氏も中国は手も足も出なかったとコメントしています。

まぁ、それはそうでしょう。アメリカ相手にドンパチ出来る国は、今の世界にはいませんからね。

このように、正面切ってアメリカに対抗できないとなると、次にどんな手を打ってくることが考えられるかといえば、やはり、分断してからの各個撃破でしょうね。

つまり、ASEAN諸国や日本などに離間工作を掛けてくる可能性があるということです。例えば、札束外交で靡かせてアメリカとの関係を相対的に弱めようとしたり、或は沖縄のように、独立工作を仕掛けてくるなどが考えられます。

その意味では、アメリカの「航行の自由」作戦に乗っかるという手は有効かもしれませんね。離間なぞ効かないよということですから。

事実、オーストラリア海軍も軍艦や哨戒機の人工島周辺への派遣を選択肢に含め準備を進めているそうですし、日本の海自は米海軍と南シナ海の南側、ボルネオ島北方付近を航行し、その際に通信訓練や、米兵と自衛隊員による艦船乗り換えなどの共同訓練を実施するとしています。

このように、日米、米豪、日豪の関係が良好であることは、中華帝国が睨む海洋覇権にブレーキを掛ける最大の力になることはほぼ間違いありません。

中国の海洋進出を阻む鍵は、「公海と同盟」になると思いますけれども、この2つのキーワードが鍵を握るのではないかと思いますね。

この記事へのコメント

  • almanos

    中共は「中華世界」を中共の外に広げたいと思っている。でも、それは既存の「世界」の縮小を意味しますからね。日本を含めた特亜以外の国は「世界」の側です。事は帝国の拡張主義であると同時に「世界」の対立でもある。そして、世界は一つしか存在し得ないのでは無いかと思います。「World War C」は半分冗談で言っていましたが、冗談ではなくなるのかもと思えます。
    2015年10月30日 06:09
  • ミモロン

    中国の問題は常に「量の問題」に帰着するという事を考えると、「航行の自由作戦」に対して、返す刃で、「量によって軍事プレゼンスを凌駕する」という行動を取って来るかも…という推測もできますね。

    ※中国海軍が、米海軍の活動を妨害するための作戦立案をしているらしい…という報道もあります

    中国側の確実な強み=(1)地の利 (2)量の利(物量作戦が可能+量は質を兼ねる)

    アメリカと中国は、対話の継続の必要性と、「洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準(CUES)」を順守する必要性で一致したという話ですが、一方で、ここ数年の間に、中国側の探知能力や哨戒能力が向上している…という報告も出ているそうです。

    時間の経過に伴う「物量の増大」と「人的熟練度の上昇」、つまり「天の時」と「人の和」の推移次第では、余り楽観視できないのかも知れません(汗)
    2015年11月03日 16:47

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