今日はこの話題を極々簡単に……

中国の大気汚染がまた酷くなっています。
11月8日、遼寧省・瀋陽で微小粒子状物質「PM2・5」の値が一時、1立方メートル当たり1400マイクログラムとなったことが分かりました。
この値は日本の環境基準の実に40倍にも相当します。
新華社などによるとこの日の瀋陽は100メートル先が見えないほどの濃霧が発生し、大勢の人がマスクを着用。病院には喉の痛みなどを訴える人が殺到したそうです。
中国の大気汚染については、何本かエントリーしたことがあります。
PM2.5が体内に入ったら
毒大気に沈む北京
中華毒霧のドミニオン
このエントリーをした当時も大気汚染が酷かったですけれども、流石に1400μg/cm^3まではいかなったですから、増々酷くなっている印象です。
実際、カリフォルニアを拠点とする気候調査団体「バークレイ・アース」は、中国、台湾、韓国にまたがる1500の地上駅から採取した4ヶ月間のデータを分析した結果を発表しているのですけれども、それによると中国の人口のうち3分の1以上の人が、「健康を害する」と考えられる大気で日常を過ごし、毎日約4400人、年間で約160万人死んでいると推定したそうです。
ちょっと信じがたい数字です。
中国の大気汚染は、特に、寒くなると暖房の為に大量に燃やす石炭の為だと言われているのですけれども、当局は法規制を強化して対応しようとしています。
今年8月29日、中国全人代常務委員会は「新大気汚染防止法」なるものを公布しました。こちらにその概略がありますけれども、掻い摘んでいえば、排ガスを総量規制して、違反者は厳罰に処すというシンプルな対策です。とまぁそういえば聞こえはよいかもしれないですけれども、逆に言えば、国内の企業に押し付けてしまっているわけです。
勿論、中国国内の企業が真面目に汚染対策に取り組めば改善していくのでしょうけれども、そこは中国です。GDPもそうでしたけれども、表の数字はいくらでも作ってくると思いますね。
恐らくは、帳面上では、総量規制を達成している筈のに、汚染物質は一向に減らない、という事態になるのではないかと思いますね。
一番手っ取り早いのは、工場から暖房から何もかも止めてしまうことです。実際、この間の軍事パレードのときも、交通規制や操業規制をやって、"偽りの青空"を演出してみせました。同じ事をやれば、汚染は止まる。けれども、経済も一緒に止まってしまいますからね。現実解ではないですね。
現実解に近いものがあるとすれば、冷暖房含めた経済活動を「電気」主体に切り替えていくことですね。そうすることで大気汚染の原因はぐっと減る筈です。但し、そしてその電気の元のなる発電を火力以外のものにすることが大事なポイントになります。発電の為に、石油や石炭をガンガン燃やしてしまえば元の木阿弥です。
となると水力か原子力しかない。けれども、中国の慢性的な水不足を考えると水力に頼るのは難しい。それ以前に水力では必要電力をカバーできないでしょうね。となると残るは原子力しかない。
現在、中国は原発をバカスカ建てていますけれども、ある意味必然の流れともいえる訳ですね。
ただ、その電気への転換が間に合うかどうかはまた別の問題です。ここまま推移すると、極端にいえば人民が"呼吸する"ために、工場の操業を停止しなければならなくなるかもしれないということです。その意味では、中国は自身の大気汚染で自滅する可能性もないわけではありません。
水の問題もありますけれども、中国は、生活というレベルではすでに非常に危うい段階にあるのではないかと思いますね。
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almanos