今日も極々簡単に……

11月27日、防衛省は、中国軍の爆撃機など計11機が沖縄本島と宮古島間の空域を往復するなどし、空自がスクランブル対応したと発表しました。
これは、27日の午前から午後にかけて、H-6爆撃機8機、TU154情報収集機1機、Y-8早期警戒機2機が、東シナ海から太平洋に出た後、反転して中国側に戻りました。
これについて中国国防省、空軍の申進科報道官は複数の空軍機が沖縄本島と宮古島の間の海域上空を抜けて西太平洋に入る訓練を実施したとして、「航空兵の遠距離作戦能力を向上させた」と述べています。
中国はこれまでも、沖縄―宮古島間の空域を往復することは何度もやっています。
上の図は防衛省が発表している中国の東シナ海の飛行についての資料ですけれども、2014年のそれと今回のをちょっと拾って並べたものです。一見して分かるとおり、これまでは、単に沖縄―宮古島間の空域を往復していただけなのが、今回はH-6爆撃機4機が東シナ海を北上しているんですね。航跡を見る限り、中国が2013年11月に一方的に設定した防空識別圏に沿って飛んだように見えます。
防衛省統合幕僚監部によると、これだけ多くの中国軍機が飛来するのは異例で、中国側の狙いを分析しているとのことですけれども、やはりこれは、今月8日から9日にかけてアメリカ軍のB52爆撃機が南シナ海の中国の人工島付近を飛行したことに対する対抗措置だったような気がしますね。
米軍がB52を飛ばしたときは、中国は、地上管制官から警告をしたそうですけれども、B52はそのまま飛行を続け、中国は実質手も足も出ませんでした。
中国にしては面子丸潰れの事態であり、何もしないままでは、国内の突き上げなど、習近平主席は政権維持が苦しくなっていきます。そのため、対抗措置を取らなければならないのですが、同じ南シナ海に爆撃機を飛ばせば、アメリカ軍と衝突する危険ばかりか対立の深刻化を招きます。
そこで、挑発しても、絶対反撃してこない日本に対して爆撃機を飛ばし、東シナ海を威嚇飛行したのではないかと思いますね。要するに国内向けの要素が多分にあるということです。
まぁ、仮にそうだとしても、それは向こうの都合であって、日本はそれに合わせてやる理由はありません。国防上問題があれば、速やかに対処すべきです。
特に、中国機に対するスクランブル回数は年を追うごとに飛躍的増大し、2010年には年100回程度のスクランブルが2014年には450回を超えています。
以前、2013年1月に「中国包囲網を成功させる条件」のエントリーで述べたことがありますけれども、中国は孫子の兵法に則って、度重なる領海接近、領空接近をやって疲れさせようとしているようにも見えるんですね。
先のエントリーでは、中国包囲網を成功させるには日本が本気であることをASEAN諸国に理解して貰い、信頼を得る必要があると述べましたけれども、あれから3年近く経って、ようやくASEANも日本の本気を理解しつつあるように思います。これは大きな安倍外交の成果だと思いますね。
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