今日はこの話題を極々簡単に…

11月5日、馳浩文部科学相はパリで開かれているユネスコ総会で演説しました。
これは、中国が申請した「南京大虐殺文書」が日本の反対にもかかわらず登録されたことを受けてのもので、馳文科相は「記憶遺産事業については、ガバナンスや透明性の向上を含む改善を早急に実現するよう加盟国間で議論を進めていく必要がある……有形、無形、文書等の貴重な遺産を保護し、継承していくための事業は平和の砦を築く作業の最前線の一つ……これらの事業は加盟国間の相互理解と連帯を一層強化するためのものでなければならない。……事務局長による力強いリーダーシップを期待している」と、ユネスコのボコバ事務局長に制度改革に取り組むよう求めました。
馳文科相は、この演説で例のユネスコ分担金支払い停止については触れなかったのですけれども、翌6日、菅官房長官は馳文科相の演説について「極めて意義のあることだ」と評価した上で「制度改革に何が一番必要で効果的か、ありとあらゆる可能性を含めて検討する」として停止も視野に入っていることを述べています。
尤も、馳文科相は同じく6日に、パリのユネスコ本部を訪れ、ボコバ事務局長と会談したのですけれども、その場で日本国内でユネスコへの分担金停止を求める意見が出ているとし、登録過程における透明性や公正性について改善を直接要請していますから、本当にどうにもならなかったら停止するということなのでしょう。
この要請に対して、ボコバ氏は制度改善を検討するよう内部に指示を出したことを明らかにしています。
現在のユネスコ記憶遺産は、各国からの申請をユネスコ小委員会での討議を経て、国際諮問委員会で登録の可否を決める仕組みで、事務局長は結論を追認することしかできないのが現状です。まぁ、お飾りといってしまっては語弊があるのかもしれませんけれども、それに近いのではないかと思われます。
事務局長は「制度改善を検討するよう内部に指示」しただけであって、自ら立案するわけではないですね。勿論、そんなのは事務局長の仕事ではないというのはその通りでしょうけれども、では改善案として出てきた案が妥当であり、日本を含めた他国を納得されられるものになっているという保証はありません。要するに事務局長一人でどうこうなる問題ではないということですね。組織が絡む限り、ユネスコ内部での組織防衛もあるでしょうし、利害の衝突を避けて通ることも難しいと思います。
となると、やはり日本がやるべきは味方を増やすことだと思いますね。日本の意見に賛同する国を地道に増やしていくのが遠回りのようでも一番効果があります。
なぜなら、なんだかんだいっても「数は力」であるからです。
あの中国だって、自分の意見を通そうとすると「数」を背景に押し込んできます。仮に「数」で負ける状況になると、分断して相対的に数で上回る状況をつくってから各個撃破してきます。まぁ兵法の鉄則ですね。
今のように、国際社会で、民主主義的に投票で物事を決めるケースが多くを占めるとこの投票という「数」の世界では兵法が増々威力を発揮するようになります。なぜなら、現代兵器のようにその性能に差があるわけではないからです。
現代兵器はGPS誘導による精密攻撃を可能としたり、大規模破壊兵器などのようにミサイル一発とっても、その性能には天地の差があります。つまり彼我の戦力差の中に科学技術が占める要素、性能が占めるウェイトが大きいのですね。
けれども、投票用紙にはそんな性能差はない。藁半紙に書いても、金箔に書いても票としての価値は同じ一票です。ですから、その一票を取りに行くことが決定的に重要になります。ゆえにロビー活動が大きな意味を持つ。中国或は韓国もそうですけれども、彼らはそれをずっとやり続けています。その結果が今出ているわけですね。
馳文科相はユネスコの日本代表部に対して、各国の理解を取り付けるために動くよう指示を出したそうですけれども、まぁそういうことです。
遅きに失していることは否めませんけれども、やるべきことはやる。ロビーも含めて、もう少し世界基準の活動をやるべきだと思いますね。
この記事へのコメント
泣き虫ウンモ
弱い国の支持も有難いのですが、影響力はないです。
仲間になる核を抑えないといけないですかね。
ただ、歴史観では受け入れがたいと思う方々というか国々もあるので、そこをどうするかですかね。