TPPに先を越されたRCEP

 
今日はこの話題を極々簡単に……

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11月22日、ASEAN首脳会議に合わせ、RCEP交渉に参加する16ヶ国の首脳がRCEPの交渉に関する共同声明を発表しました。

それによると、「これまでの実質的な進展を歓迎する。関係閣僚によって達成された大きな進展によって、物品貿易、サービス貿易および投資における実質的交渉が促進された……世界の人口の半分、世界の生産・貿易の約30%を擁するRCEPは、数十億人の生活水準を改善する大きな潜在力がある。われわれは2016年内のRCEP交渉の妥結により、地域および世界的な経済統合に大きく貢献すること、経済協力が強化されることを期待する」とし、来年中の交渉妥結を目指すとしています。

RCEPについては2013年10月のエントリー「RCEPとTPPとASEAN」で述べましたけれども、TPPと比べて、参加国の事情に配慮してある程度の例外を認めるなどの"緩い"んですね。

8月のRCEP会合でも、自由化率についてRCEPの協定発効当初は65%を即時撤廃し、10年かけて80%まで引き上げることで原則合意しています。しかも、中国やインドには例外として一段と低い自由化率が認められるのですね。これはTPPの95%超と比べると大きく見劣りしてしまいます。

しかも、例外をたくさん認めてしまうと、今度は逆に例外でないものが何かで揉めることになります。10月のRCEP会合では、関税撤廃の品目について各国の意見の隔たりが大きく、合意を取り付けることはできませんでした。

それを横目にTPPが大筋合意ですからね。ASEANが漸く出現したTPP経済圏、「パシフィックリム経済圏」に関心を示すのは当然とも言えます。

実際、RCEP交渉参加国のうち、新たに韓国やフィリピン、インドネシアなどがTPP参加の意思を表明し、タイも関心を示していると伝えられていますけれども、大筋合意に至ったTPPはそれだけの求心力があるんですね。

ASEANをTPPによって繋ぎとめておくことは重要です。なぜならそれは同時にシーレーンの「航行の自由」を保証することに繋がるからです。自由貿易をちゃんとに行うためには絶対的に「航行の自由」が必要ですけれども、その意味では、TPPを糊代わりにアメリカを太平洋のこちら側にくっつけておけたのは大きい。アメリカの軍事力が「航行の自由」をプレゼンスしてくれるからです。

今、正にアメリカが南シナ海で「航行の自由」作戦を実施していますけれども、あれは同時にTPPの保証の意味合いもあると思うんですね。

今の情勢であれば、尚のことそうだと思いますけれども、「経済と安全保障は密接に絡み合い、不可分なものである」という意識でみたほうがいいと思いますね。

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    我々は新聞が騒いでいるとなんとなく理解している様に考える.
    しかし, TPP に入るのがそんなに良いことなのかについての
    基本点が明確になっていないにも関わらず
    ASEAN の動きを論評するのは科学的では無いと思う.
    2015年12月01日 13:45

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