マグネシウムや微生物で電気をつくる未来

  
今日は久々に科学技術系のエントリーです。

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古川電池が水を入れるだけで発電するマグネシウム空気電池を来年2月から一般販売するそうです。

これは、古川電池が凸版印刷と共同で開発したもので、大きさ210mm×110mm×220mmの紙容器に500mlペットボトル3本の水を入れると最大5日間、スマホが20回充電分の電気を作るとのこと。

これまでは主に自治体や法人向けに販売を行ってきたのですけれども、非常に好評で個人客もほしいという声が続出していたため、大きさを半分にして一般販売となったようです。USBポートもついていますから、スマホだけでなくタブレットにも充電できますね。

この水を入れるだけで発電する電池については、3年ほど前「PowerTrekkと微生物太陽電池」というエントリーで取り上げたことがあります。

当時、フィンランドの燃料電池メーカー「myFC」が「PowerTrekk(パワートレック)」というポータブル充電器を開発・販売しています。こちらも水を入れるだけで発電するものですね。

その仕組みはアルカリ金属またはアルカリ土類金属と水を反応させて水素を取り出し、酸素と電気化学反応させて電気を作り出すものと推定されます。今回の古川電池のものマグネシウムを使っているようですけれども、マグネシウムは、カルシウムと同じくアルカリ土類金属ですから、ほぼ同じ仕組みで水素を作っているものと思われます。

 マグネシウムと水との反応式は次のとおりです
正極: O2 + 2 H2O + 4e– → 4OH– (E0 = 0.4 V)
負極: 2 Mg + 3OH– → 2 Mg2+ + 4e– (E0 = -2.36 V)
 マグネシウムは常温の水とは殆ど反応しないのですけれども、このマグネシウム空気電池は、おそらく食塩水にして、マグネシウムの酸化還元反応を少し加速させて使っているものと思われます。

または、熱水とはマグネシウムは反応するので、内部でヒーターか何かで温めているとも考えられますけれども、簡便性を考えると、おそらく食塩水だと思います

今後こうした携帯型の燃料電池は益々普及していくように思いますね。



さて、件のエントリーの後半では微生物による燃料電池も取り上げているのですけれども、この程、『尿』で発電するユニークな「靴下」が西イングランド大学で開発されました。

これは、サンダルと脚絆とで構成され、脚絆部分に微生物燃料電池(Microbial Fuel Cell:MFC)が仕組まれていて、それらは多数のシリコンチューブでサンダルに繋がっています。

この靴下――靴下というよりレインコートに近い?――をつけて歩くと、膀胱から汲み出した『尿』を、脚絆のMFC へと送り込んで、MFC内の微生物が尿中の有機成分を分解し、発生する電荷をマイナス極に蓄えます。そしてそれをプラス極へと流すことで電流を発生させるというものだそうです。
 
この装置を実際に着用した実験では、発電した電気によって、2分間隔でコンピューターに短いメッセージを無線送信できたそうです。

中々ユニークな発想の装置だとは思いますけれども、『尿』が足を駆け巡るのは余り気持ちがいいものではないですね。普通の水で勘弁してほしいところです。

それでも、微生物を使った発電は将来有望視する向きもあり、こちらでは、汚水処理への応用も考えているようです。

今後、微生物利用の方面にも注目しておいていいのかもしれませんね。

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