人民元のSDR入りについて

 
 今日はこの話題を極々簡単に…

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 11月30日、IMFはSDR構成通貨に中国人民元を採用することを承認しました。

 人民元のSDR通貨バスケット比率は10.92%と、事前予想並みの水準とのことですけれども、これにより、従来のSDR構成通貨の比率は下がり、ユーロが37.4%から30.93%に、ポンドが11.3%から8.09%、円が9.4%から8.33%に低下。ドルだけが41.9%から41.73%とほぼ同水準になりました。

 IMF関係者によると、全会一致での承認だったそうなのですけれども、IMFのラガルド専務理事は、中国の改革の継続に期待感を表明し、より柔軟な変動為替相場制への移行を促すとしています。

 まあ、アナリストは、中国が資本勘定を完全に自由化し、変動相場制に移行しない限り、投資家は人民元を国際通貨として使用することに引き続き慎重になる、との見方を示しています。

 また、12月1日、菅官房長官は記者会見で「象徴的な意味合いはあるが、SDRは公的主体の保有に限られる。……民間取引が大勢を占める世界経済の総取引に直接の影響はない」との認識を示しています。

 というのも、SDRの発行残高は3000億ドル(約37兆円)をやや上回る程度、世界の外貨準備高の2.5%程なんですね。したがって、菅官房長官は「民間取引が大勢を占める世界経済の総取引に直接の影響はない」とコメントした訳です。

 人民元のSDR入りについて筆者は、「人民元のSDR入りを熱望する中国」 や「中国に襲い掛かる『自由市場』」のエントリーで取り上げたことがありますけれども、筆者には、中国がそんなに都合よく変動為替相場制に移行するかどうかは疑問ですね。これまでの東シナ海や南シナ海でのやり方を見ているといつもの「俺様」ルールのゴリ押しをしてくるのではないかと思います。

 まぁ、いきなりそこまではいかないとしても、手始めとして周辺国へのインフラ投資を元建てにして、バカスカ投資して、影響下においていく。中華帝国構築の道具として使ってくるのではないかと思います。具体的にいえば、今は鳴りを潜めているAIIBの人民元での投資ですね。これなら外貨準備を気にせず融資できますし、政府主導ですから民間取引云々は関係ないわけですね。

 また、人民元のSDR化で、各国が外貨準備として人民元を持つようになれば、その分中国は外貨をゲットできる訳ですから二重に美味しい訳です。

 尤も各国は9月頃から人民元のSDR入りを見越して色々動き始めているようです。暫くは注視が必要になるかと思いますね。
 
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