激化する米中冷戦

 
今日はこの話題を極々簡単に……

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12月16日、アメリカの軍事関連専門メディア『ワシントン・フリービーコン』が米軍関係者の話として、「今年10月末、日本海付近でロナルド・レーガンと遭遇した中国の攻撃型潜水艦が『洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準(CUES:Code for Unplanned Encounters at Sea)』に違反して深刻なレベルの軍事行動を取った」と報じました。

ワシントン・フリービーコン』は、ワシントンに本部を置く、オンラインのニュースサイトなのですけれども、政治的スタンスとしてはネオコン寄りのようです。中国軍の動向などで、いくつもスクープを飛ばしているとの評判があります。

今回中国が違反したとされる「洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準」とは、軍事的衝突を避けるため、海上や空中で計画にない遭遇があった場合、相手に対して艦砲やミサイル、発射コントロールレーダー、魚雷などを仮想であっても指向する行為を禁じるもので、2014年4月22、23両日に中国の青島で開催された「西太平洋海軍シンポジウム(The Western Pacific Naval Symposium: WPNS)」で承認されたガイドラインのようなものですね。意思疎通の通信手段としては、英語による定められた用語の使用とカラーフレアの発射などが含まれているようです。

けれども、これは法的拘束力を持たず、締約国の領海内での遭遇事案には適用されません。
アメリカ太平洋艦隊のハリス司令官は、このシンポジウムのスピーチで、北京が隣国と領有権を争っている南シナ海と東シナ海を含む全ての海域で WPNS参加国がCUESに拘束されることを期待し「これはこの地域の海洋における緊張緩和 のための重要な前進である」と述べ、中国海軍の呉勝利司令員も「意思疎通を促進するとともに、誤断や誤解を減らす上で、この地域の海軍にとって極めて重要な画期的文書と評し、「我々は、この機会に、海空における第1線部隊に対し、善意と素晴らしいシーマンシップを示すために、意思疎通を促進するよう慫慂する必要がある」と述べ、翌23日、アメリカ海軍のグリナート作戦部長は米中両国海軍艦艇が遭遇した場合、どのような行動を取るべきかについて、中国海軍の呉勝利司令員との間で、話し合い、英語で相互に挨拶を交わすことで合意していると述べています。

けれども、これで、中国がはいそうですかとCUESを遵守するかどうかは疑問が残ります。

実際、CUESについて、西太平洋海軍シンポジウムの会場で、ウォールストリートジャーナル紙が中国海軍の海上安全保障・安全政策研究室長の任筱峰上級大佐にインタビューしているにですけれども、任筱峰上級大佐は、「CUESは勧告であり、法的拘束力がない。……我々が話し合ったのはルールであって、それを何時、何処で、どのように運用し、適用するかについては、今後2国間の協議に委ねられるべきである」と述べています。

今回の中国潜水艦のCUES違反は、合意から一年半経ってのことですけれども、未だこんな状態ですからね。どこまでCUESを遵守する気があるのか分かりません。

ただ、あえていうなら、CUES違反した海域が日本海と、東シナ海や南シナ海を巧みに外していますからね。

しかも、今年の10月末といえば、丁度アメリカ軍による「航行の自由」作戦が始まったときです。ですから、穿った見方をすれば、中国は抗議の意味を込めて、ワザとやったと見ることも出来なくは無いと思いますね。

やはり、米中冷戦は激化しつつあるとみるべきだと思いますね。

この記事へのコメント

  • 泣き虫ウンモ

    国際法も守らない国がその下位にあるルールなど遵守するはずなどないし、米国は米国で遵守させるかどうかは政権しだいでしょうかね。

    こういう不安定な状況にありながら、日本は日本で安全保障に関する意識が希薄なのがおかしいのです。
    2015年12月22日 22:15

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