今日はこの話題を極々簡単に……
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1月12日、中谷防衛相は閣議後の記者会見で、中国軍艦が尖閣諸島周辺の日本領海に侵入した場合、自衛隊が対応する事がある、との認識を明らかにしました。
これは、記者会見の質疑応答で記者からの質問に答えたものです。その時のやり取りはこちらの防衛省のサイトで公開されているのですけれども、中谷防衛相は、去年5月に閣議決定された「我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について」に基づいて、対応するなかで、「一般的に、警察機関、また海上保安庁等の対応が困難な場合が発生した場合におきましては、海上警備行動を下令して自衛隊が対応するということは、原則としてあります」と述べているんですね。
では、中谷防衛相が触れた「我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について」にどう書かれているのかというと、自衛隊法に基づいて対応するとちゃんと書いてあるんですね。次に該当部分を引用します。
2.事態への対処そして、自衛隊法第82条は次のようになっています。
政府は、我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦に対しては、国際法に従って、我が国の領海外への退去要求等の措置を直ちに行うものとし、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するとの観点から、当該措置は、自衛隊法第82条に基づき海上における警備行動を発令し、自衛隊の部隊により行うことを基本とする。
この際、防衛省、外務省及び海上保安庁は相互に緊密かつ迅速に情報共有し、調整し、及び協力するものとする。
「我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について」平成27年5月14日 閣議決定 より
(海上における警備行動)これらから明らかなとおり、警察や海保の手に負えない相手は、防衛大臣が判断して総理の許可の下、自衛隊を出すと閣議決定しているわけです。
第82条 防衛大臣は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。
では、なぜ去年の5月に閣議決定したことが今になって話題になるのかというと、まぁ、記者がそうした質問を中谷防衛相にぶつけたからなのですけれども、その前提として12日付で読売新聞が。「日本のこの新しい対処方針を外交ルートを通じて中国政府に通告した」と報じたからですね。
記者はその真偽を質問したわけですけれども、中谷防衛相は答えを差し控えると答えませんでしたけれども、否定はしていません。ですから、通告済みとみていいでしょうね。読売は昨年11月頃に通告したと報じています。
では、実際の運用はどうなっているかなのですけれども、中国海軍の艦船が、11日から12日に掛けて、尖閣諸島の南の公海上を東西に一往復半、反復して航行しているんですね。航行したのは、中国海軍の「ドンディアオ級情報収集艦」です。
「ドンディアオ級情報収集艦」は、船尾にヘリコプター甲板を持ち、戦術弾道ミサイルや長距離対艦ミサイルの試験発射時に各種測定を行なうことが任務とされています。この船が尖閣周辺の接続水域ギリギリを航行したのですね。
これに対して日本は海自が警戒監視活動にあたったそうです。ですから、一応運用はされていると思いますけれども、場合によっては軍事衝突の危険もあったということです。
今回の中谷防衛相の発言に対して、中国外務省の報道官が「東シナ海の緊張状態がエスカレートするのを見たくない。……対話と協議を通じて問題を解決していきたい」などと、コメントしていますけれども、何のことはない、自分で緊張状態を高めておいて被害者面する、マッチポンプだということです。
しかもこれは、日本が、自衛隊を出すぞと通告を受けた上でのことだと思われますから、全く、何をかいわんやですね。
ですから、中国のいう「対話」の中には、「軍事的恫喝」も対話の中に入っていると認識したうえで、協議に臨むべきだと思いますね。
この記事へのコメント
opera
また、ようやく今年から(?)、海上保安庁にも新型巡視船が投入される予定だったと思うのですが、その装甲や武装がどうなっているのかを含めて、日本側の毅然とした態度が望まれます。こうした鍔ぜり合いが行われている状況では、隙を見せないことは極めて重要でしょう。