当選よ! さて、どう出てくるかしら?

 
今日はこの話題を極々簡単に……

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1月16日、台湾総統選挙が投開票され、最大野党・民進党の蔡英文主席が大勝しました。8年振りに国民党に代わって民進党へと政権交代し、台湾で初の女性総統が誕生することになりました。

蔡英文主席は、両親が本省人で台北市生まれの59歳。アメリカ、イギリスで法学を治め、政治大学教授などを経て、2008年から2012年まで民進党主席。2014年に党主席に復帰。今回の総統選挙で総統の座を射止めました。

今回の選挙戦では、中国に対する政策が争点になり、交流拡大の継続が台湾の利益になると訴える国民党に対し、民進党は、急速な接近は台湾の主体性や民主主義を損なうと批判し激しく争ってきました。

民進党は中国が台湾との交流の前提とする「一つの中国」の原則を認めておらず、台湾独立を志向していると見られているのですけれども、蔡主席が前回2012年の総統選挙で敗北したのも、蔡主席の台湾独立志向が強いとみなされ、中国と対話ができないとの懸念されたのが原因と言われています。

今回はその経験を活かして、早くから「現状維持」方針を打ち出し、アメリカと日本に根回しをしつつ、選挙戦では、中国との交流の道を探すと主張しました。またその一方で、「中国と台湾はともに1つの中国に属する」という考え方は、押しつけだと批判して、「台湾人」としてのアイデンティティーが強まっている若い世代の支持拡大にも努めました。

まぁ、要するにウイングを広げて、独立派と現状維持派のどちらも取り込もうとしたのが功を奏したわけです。

蔡主席は、選挙後の記者会見で、「きょう台湾人は投票によって歴史を作った。政権交代を成し遂げることができ、投票所に足を運んでくれたすべての台湾の人々に深い敬意を示したい。……台湾と中国は、互いに挑発も、予想外のことも行わず、対等な立場で尊厳をもって交流の道を探ることに、最大限努力しなければならない」と述べていますから、やはり「現状維持」路線を中心に進めていくものと思われます。

では、具体的にどうしていくかなのですけれども、こちらのブログで蔡主席の政策構想について紹介しています。それによると、大きな柱は次のとおり。
1.上意下達の政治ではなく、草の根の民意を結集
2.社会・経済構造の再編
これらを柱として、内需拡大を図るということのようですね。勿論これらが実現するかどうかは、これからを見ないとなんとも言えないですけれども、社会・経済構造の再編といった大きな話となると、一朝一夕というわけにはいきません。台湾のGDPは5300億ドルとベルギーやノルウェー並の経済規模がありますから。

けれども、その対岸にはGDPが10兆ドルを超える中国本土があります。産業構造を再編しようがしまいが、中国との関係をゼロにすることは不可能だと思われます。その意味では、蔡主席が打ち出している現状維持路線は妥当な線だとは思いますけれども、問題はその路線を中国共産党が許すかどうかです。

今は選挙が終わったばかりで、中国がどうでてくるのか分かりませんけれども、その気になれば、台湾との経済交流を絞って、経済制裁紛いのことをすることだってできるわけですね。そうなると、中国との経済交流を重視する財界の突き上げを食らって、支持率にも影響を及ぼす可能性も否定できません。

果たして、中国がどこまで露骨な対応をみせるのか分かりませんけれども、「初の女性台湾総統として、奮戦するんだからっ!」と気張っても、ある程度、慎重に事を進めたほうがよいような気もします。

今回の選挙で、国民党の朱立倫氏が敗北した原因は、現・馬政権下での経済低迷が逆風となったほか、党内の総統候補選びの混乱などで支持者の失望を招いたからだと言われているようですけれども、新総統となる蔡主席にとっても、経済が大きなポイントになると思いますね。

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