AIIBは燃えているか

 
 今日はこの話題を極々極簡単に……
 
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 1月16日、AIIBの開業式典が北京で開かれました。式典にはAIIBに参加する57ヶ国の代表らが出席し、中国の金立群元財政次官が総裁に就任したほか、アジア・大洋州の域内から9人、その他の地域から3人の理事の態勢や銀行の運営に必要な人事が決まったようです。

 初代総裁の金立群氏は会見で「AIIBは現在ある国際金融機関のコピーではない。我々は全く新しい機構を作り上げる」と大見得を切ってはいるのですけれども、出だしから思いっきり雲行きが怪しくなっています。

 昨年から各所から指摘されていましたけれども、AIIBは資金調達の為に発行する債券の格付けを未だ取得できていません。

 格付けは、信用リスクを判断するための指標ですから、判断材料がなければ、格付けもクソもありません。では何を判断材料にするのかというと、物凄く平たくいえば、過去の実績になります。

 融資した金がきちんと期限までに回収できた実績があればあるほど、債券を買っても間違いないということで、格付けは上がっていきます。ごく当たり前のことですね。

 AIIBは全く新たに立ち上げた国際金融組織ですから、過去の実績は全くありません。ではどうするかというと、一番手っ取り早いのが、格付けの高い国を仲間に引き入れるということですね。しかも、その国が、融資する地域に対して融資と回収のノウハウを豊富に持っていれば、より望ましい訳です。AIIBが日米の参加を何度も要請している理由は此処にあります。

 ところが、御存知のとおり、日米はAIIBの不透明性を理由に参加を見送っています。となると、AIIBが格付けを得るためには、今の状態で地道に実績を積むしかありません。

 畢竟、AIIBが高い格付けを得るためには、融資案件に失敗など許されなくなります。その意味では、日米を欠いたAIIBが融資に慎重になるのは当然とも言えます。

 AIIBの初年度の融資規模は15億~20億ドルで、5~6年の年間融資額が100億~150億ドルになると見られていますけれども、初年度の債券発行は1億~5億ドルになると見込んでいるようです。

 ところが、これら初期の債権は格付け無しで発行するとしているのですね。国際金融機関としては前代未聞の事です。何でもAIIB設立チームの幹部によると、「信用格付けに長い時間がかかるのを待つことができない」というのがその理由のようですけれども、これについて嘉悦大教授の高橋洋一氏は、「もしこれが本当なら、当面の資金繰りも苦しいということではないか」と指摘しています。

 AIIBの資本金は1000億ドルです。まぁそうは言っても、2015年12月時点で集まったのは全体の50.1%ですから実際は500億ドルですね。しかも、参加57ヶ国のうち、国内で批准手続きを終えたのは17ヶ国と言われていますから、単純に比率計算すると約29.8%。3掛けして150億ドル程度ですね。

 机上計算では、ここから初年度の融資額である20億ドルを出すということになるのですけれども、集まった資本金の五分の一を初年度に融資する事になります。まぁ初年度は融資できるとしても、5~6年の年間融資額として予定している100億~150億ドルを融資するとなると、そのままではちょっと厳しい感じですね。

 急いで、資本金をかき集めるか、債権をバカスカ発行しないと回らないように思われます。

 その意味では、日米の居ないAIIBは、スタートから火の車になるのかもしれませんね。

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