慰安婦問題は終わりであり始まりでもある


今日はこの話題を極々簡単に……

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1月18日、安倍総理は、参院予算委員会で、日本のこころを大切にする党の中山恭子代表から昨年末の慰安婦に関する日韓合意について「日本が軍の関与を認めたことで、海外メディアで日本は恐ろしい国だ、と。日本人はニコニコしているが、本性はけだものであり、残虐だと。世界の人々の見方が取り返しのつかないものになっている」と懸念を示したことに対し、「海外プレスを含め、正しくない誹謗中傷があることは事実だ。性奴隷、あるいは20万人といった事実はない。政府として、それは事実ではないと、しっかりと示していく」と述べました。

また、岸田外相も「海外メディア、欧米主要国でも日韓関係の改善は高く評価している……不適切な表現、事実に基づかない表現が散見される。不適切な記述はしっかりと申し入れを行い、わが国の立場、事実については国際社会にしっかりと明らかにしていく」と述べています。

そして、中山氏の「これから生きる子供たちに謝罪を続ける残酷な運命を追わせたのではないか。首相はどう流れを払拭するのか」という質問についても、安倍総理は「慰安所は当時の軍当局の要請により設営されたこと、慰安所の設置、管理、移送について、旧日本軍が直接あるいは間接的に関与したこと、慰安婦の募集については軍の要請を受けた業者が主にこれにあたったことは、従来述べてきた通りだ。……私は、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせてはいけないと考え、その決意を実行に移すために決断した」と述べています。

まぁ、具体的にどういうアクションを行っていくかは分かりませんけれども、安倍総理は日本の解釈というか従来の立場を公式の場で明らかにした訳です。

これに対して、韓国はいつものように反発してみせています。

1月19日、韓国外交部の趙俊赫報道官は定例会見で、「慰安婦動員の強制性はいかなる場合でも否定できない真実だ」と反論したのですけれども、記者から、安倍総理の発言は合意に反するものではないかとの質問には「今、重要なことは合意事項を忠実かつ誠実に履行することだ」と回答を避けました。

合意内容については、昨年12月29日のエントリー「日韓慰安婦問題妥結について」で取り上げていますので、繰り返しませんけれども、"軍の関与"の中身がどうであれ、それをひっくるめて「不可逆的に解決する」というのが、今回の合意です。しかも合意の中には、「慰安婦問題については、国際社会において互いに非難・批判することは控える」とあります。

確かにこの合意には前提条件がついています。けれども、その条件とは「日本政府によるお詫びの気持ちの表明」と「新設される基金への資金供出」です。軍の関与の解釈は何の関係もありません。

ですから、先ほどの韓国の記者の質問に、韓国外交部「合意違反だ」というのは、ちょっと無理がありますし、それ以前に質問した記者もズレたことを訊いたのではないかと思いますね。

取り分け、「慰安婦問題については、国際社会において互いに非難・批判することは控える」という合意文は中々テクニカルな表現だと思いますね。それは何処かというと"国連等国際社会において"とわざわざ但し書きを着けているところです。

 国際社会において、批判しないということは、国際社会でないところ、即ちそれぞれの国内においては好き勝手に言ってもよいという意味にも取れます。要するに、慰安婦問題に託けての日本批判の海外輸出を封じたということですね。

また、批判を控えるという部分も、裏を返せば、「批判でなければ言ってもよい」ということです。安倍総理は「強制連行の事実はない」という答弁をしましたけれども、例えば、これが「強制連行はあったと韓国が嘘を宣伝している」となれば、韓国に対する批判になる可能性があります。しかし、「強制連行の事実はない」で止めて置くならば、単なる主張であり、批判には当たりません。国際社会で訴えてもよいということです。

同じロジックは韓国側にもいえて、国際社会で「強制連行はあった」と主張するだけならギリギリ批判には当たらないと思いますけれども、「だから日本は悪い国だ、賠償しろ」となると合意違反になってしまうと思われます。

つまり、合意によって、国際社会での批判合戦を封じ、主張のぶつかり合いに土俵を移した訳ですね。

あとは、日本の主張をどう浸透させ、理解させていくかなのですけれども、もともと自国の主張を第三国に浸透させる、いわゆるロビー活動は昔から韓国がやってきたことです。彼らは事実云々は関係なく、被害者の立場で、同情を買う形のロビーをずっとしてきました。慰安婦像はその最たるものですね。

いくら慰安婦像撤去が韓国政府の宿題になったとはいえ、果たして、それらが一斉に潮を引いたように無くなるのかどうか。

日本の主張を知らしめるという意味では、慰安婦問題は始まったばかりだといえるのかもしれませんね。

この記事へのコメント

  • あきつしま

    「軍の関与」という玉虫色の政治用語は、日本国内でしか通用しない。

    今回、安倍政権は「慰安婦は韓国による嘘である」と公式に述べ、価値判断を下すべきであったと強く思う。

    何故なら、海外に於いては既に「遂に、日本がセックス・スレイブを公式に認めた」という文脈で情報が拡散しており、
    “政治的カード”にしか過ぎなかった慰安婦を、“歴史的事実”にしてしまった今回の同意は、
    長い目で見たら、もはや“売国”以外の何物でもないからだ。

    後出しでいくらコメントを出そうが、現在の国際政治の舞台では、それは、あくまでも“補足事項”としてしか捉えられない。

    安倍政権による、日本の中枢を蚕食している反日在日外国人の排除政策については、高く評価する。

    しかし、今回の慰安婦の件といい、前回の南京大虐殺の件といい、
    長期的な国際戦略ビジョンを欠く点、安倍政権の大きな汚点であり大失策であると言わざるを得ない。
    誠に残念である。
    2016年01月20日 11:58
  • popper

    はしごはずされたネトウヨも何もやらないでしょう。といわけでネトウヨ界隈が壊滅したという点で画期的な事件ですね。
    2016年01月20日 15:31
  • あきつしま

    繰り返すが、安倍政権による、日本の中枢を蚕食している反日在日外国人の排除政策については、高く評価する。
    2016年01月20日 18:38

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