ごろつき援助国、中国

 
 今日はこの話題を極々簡単に……

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 アメリカのシンクタンクが途上国側が援助の善しあしを評価するランキングをまとめたところ、中国は主要項目で下位に甘んじたと報じられています。

 これは、アメリカのウィリアム・アンド・メアリー大学に拠点を置く開発援助調査機関「エイドデータ」が去年10月に発表した調査によるもので、支援を受ける126カ国の低・中所得国の実務担当者ら約6700人に対するアンケートを元にしたものです。

 それによると、「助言の有用度」の項目では、中国国家開発銀行が86カ国・機関中の75位。中国輸出入銀行は59位、中国の在外大使館も70位。援助政策に影響を及ぼす「課題設定の影響力」ランクでも、中国大使館は60位、中国国家開発銀行は72位と奮いません。

 この結果について、イギリスのフィナンシャル・タイムズは、「中国の『ソフト・パワー』への疑念」という記事で「中国の影響力拡大への懸念は、おそらく誇張だ」とするエイドデータの調査担当者の声を伝え「巨額を投入した割には、中国の助言に信頼を寄せる途上国の政策担当者は少ない」と報じています。

 これら調査での「助言」の定義が不明なので確たることはいえませんけれども助言というのは、相手の「助け」になるからこそ助言になるのであって、そうでないバーターのような見返りのみ求めるようなものは助言とはいえないと思います。

 中国が資源獲得や国際会議等々での票集めのために援助を政治的に選択・利用していることは良く知られたことですけれども、ワシントン・ポストによると中国は2000年から2013年までの間にアフリカ諸国へ投入した援助額は約943億ドルとアメリカの同時期の援助額1079億ドルに匹敵する額を投じています。

 こうした、アフリカ諸国で資源外交を進める中国に対して、アフリカの独裁国の指導者らに援助という名の資金支援をすることで、国民を苦しめる圧政の維持に手を貸し、腐敗を招く「ごろつき援助国」という批判の声もあるようです。

 昨年7月、アメリカのオバマ大統領がアフリカを歴訪した際、アフリカ諸国の首脳を前にした演説でも、「真の経済パートナーシップはアフリカの雇用と能力を創造するものでなければならない」と述べ、「外国人労働力に頼ったインフラ整備」を批判しています。これは勿論、インフラ援助の名の下に自国の労働者を派遣する中国流のやり口を批判したものですね。

 タイでは去年、新幹線の導入で日中両国の企業がそれぞれ受注を獲得していますけれども、中国が建設する路線はまだ正式契約に至っていないと報じられています。何でも中国は、建設に関係する中国人の日給を現地タイ人の2倍以上を、建設資材の鉄鋼は中国から輸入することを要求。その御蔭で建設費用として当初予算の2割以上の増額となる5300億バーツ(約1兆8千億円)が提案されたとも噂されているようです。

 また、先日受注したインドネシアでの高速鉄道でも、着工遅れが懸念されています。何でも路線の一部が別の路面電車のルートに跨っており、路線変更の必要がある上に、中国の事業者が着工に必要な多くの許可を取得していないと言われているようです。杜撰ですね。

 まぁ、政治的、経済的に取れるものを取りさえすればいい、という考え方なのかもしれませんけれども、長期的には信頼を無くすやり方ですね。今はまだ、札束をヒラヒラさせれば靡く国もあるかもしれませんけれども、全体が豊かになってくれば、そのやり方では通用しなくなります。

 フィナンシャル・タイムズがいうように「巨額を投入した割には、中国の助言に信頼を寄せる途上国の政策担当者は少ない」にも関わらず、中国の「ごろつき援助」がそれなりに効果を発揮しているとするならば、それは援助を受ける側も「金」だけ欲しいということであり、逆にいえば、それだけ「金」の力は大きいということですね。

 「ごろつき援助国」が幅を利かせる現実の中で如何に日本がODAや海外受注を進めていくのか。世界は甘くありません。

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