北朝鮮に対する経済制裁はどこまで有効か

 
今日は雑談を極々簡単に……

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2月12日、朝鮮総連は、日本政府が北朝鮮に対する独自制裁を決定したことに関し、「朝鮮半島の緊張を一段と激化させる。常軌を逸した反人道的行為だ。……再入国禁止の法的措置は異常だ。事態を深刻に受け止めている」と批判し、ストックホルム合意との関係については、「明白な約束違反であり、合意の一方的破棄だ」と述べました。

ストックホルム合意とは2014年に「北朝鮮におけるすべての日本人に関する包括的な調査」を行う合意のことですけれども、これについて、菅官房長官は「ストックホルム合意を破棄する考えはない。……拉致問題を解決するために対話継続し、ストックホルム合意に基づき一日も早く拉致被害者全員の帰国実現のためにしっかり取り組んでいきたい」とコメントしています。

ただ、そうはいっても対話が継続できる保証はありません。しばらくは進展が望めないのではないかと思います。

一方、朝鮮総連の反応を見る限り、資金と人の流れを止める兵糧攻めは、一定の効果があることを伺わせます。

韓国は、今回のミサイル発射を受けて、開城工業団地の全面中断を決定していますけれども、その裏には、日米を始めとする周辺国の圧力があったようです。

韓国政府の当局者によると、北朝鮮による4回目の核実験の後、アメリカが「韓国独自の積極的な制裁が必要だ」と開城工業団地の閉鎖を強く要求し、日本も「開城工業団地を閉鎖しなければ、対北制裁へ参加するよう他国を説得するのは難しい」と迫ったようです。

さらに、中国とロシアも「開城工業団地を維持した状態で、われわれに対北制裁を要求するのは問題がある。強力な制裁を望むのなら、まずは韓国が動くべきだ」と主張。四方から圧力を掛けられた韓国は従わざるを得なかったようです。

なぜ、開城工業団地が注目されるのかというと、そこから、資金の一部が北朝鮮の大量破壊兵器の開発充てられていたとの疑いがありからです。

2月12日、韓国の洪容杓統一相は開城工業団地での給与が核開発などに使われていたとの見方を示しています。これについて、13日、朝鮮日報が開城工業団地に入る韓国企業が支払った給与は北朝鮮の「中央特区開発指導総局」が受け取り、全額を「上部」へ送金、労働者には本来の賃金の30~40%に相当する物品交換券などが渡されていたと伝えています。

これが本当であれば、韓国が北朝鮮の核開発を援助していたことになりますから、周辺国からみれば閉鎖は当然だということになるでしょうね。

開城工業団地の閉鎖については、アメリカのラッセル国務次官補が「北朝鮮が核・ミサイル開発を続ける限り、国際経済の枠組みには参加できない」と述べていますし、日本の菅官房長官も「評価している。……北朝鮮に行く『人・物資・お金』の流れを実効的に規制する日本の措置と軌が同じである」としています。

韓国としては、日米側に再びすり寄るためにも、その「証」としての意味合いがありますから、抗し切るのは難しかったと思いますね。

開城工業団地の閉鎖について、北朝鮮は韓国の朴大統領を「対決悪女」、「バカ野郎」などと相当口汚く罵っていますから、それなりに痛手にはなっている可能性があります。

ただ、そうはいってもやはり、完全に兵糧攻め出来ているわけではありませんからね。中国・ロシア側からの援助をいかに絞らせるのかがポイントになると思われます。

これまで北朝鮮はなんども経済制裁にあっては、その都度、核開発で答えましたからね。これで事が解決するとは思えない、その意味ではもう一段の「何か」を検討しないといけないと思いますね。

この記事へのコメント

  • sdi

    日米による経済制裁はそろそろ効果の上限ではないでしょうか。正確には、これ以上リベルを上げてもそんなに効果は上がらない(労力の割には北朝鮮に与えるダメージはそんなに増えない)というべきか。
    開城工業団地に関する中露の指摘はもっともですが、ではその二国が真面目に経済制裁を実行しているかというと疑問符だらけです。中露、特に中国からの戦略物資物資供給(主に原油と食料)をどう絞っていくかが経済制裁のポイントになる、という点では同意ですがあまり期待できませんね。
    2016年02月14日 10:14

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