李克強指数は使えない
今日も極々簡単に……。
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中国経済のバブル崩壊が続いています。
中国政府は2015年の経済成長率を6.9%と発表したのですけれども、これがどこまで本当なのか怪しいという指摘もあります。
昨年8月のエントリー「中国の本当のGDP成長率は公式発表の半分以下だった」で、イギリスの独立系調査会社ファゾム・コンサルティングが中国の2015年のGDP成長率を3.2%と試算したことを紹介しましたけれども、ファゾム・コンサルティングは、この試算をするために、中国の電力消費、鉄道貨物量、銀行融資の3つのデータを基にしています。
この3つをみてお気づきの方も多いと思いますけれども、この3つの指標は、「李克強指数」と呼ばれるものです。
これは、2007年、遼寧省トップだった李克強氏がアメリカ大使に「遼寧省のGDP成長率など信頼できません。私は省の経済状況をみるために、省内の鉄道貨物輸送量、銀行融資残高、電力消費の推移を見ています」と述べたことから注目を浴びるようになった指標で、それ以来、中国の本当の経済実態を示すものとして、取り上げられるようになりました。
この「李克強指数」のうち「電力消費量」と「鉄道貨物運送量」をみると、2015年は電力消費量は0.5%増、鉄道貨物運送量はマイナス11.9%です。
銀行融資残高は不明ですけれども、鉄道貨物輸送量が一割以上減って、GDPが6.9%も増えるのは流石に難しいと思いますね。
その意味では、李克強指数を基準にファゾム・コンサルティングが算出した3.2%が信憑性を持ってくるわけです。
ただ、この「李克強指数」そのものに疑義を唱える人もいます。東京大学社会科学研究所の丸川知雄教授もその一人です。
丸川教授は「李克強指数」は李克強氏が遼寧省トップだった時代の発言であり、遼寧省レベルでは通じても、それを中国全体に当てはめるのは無理があると指摘しています。
たとえば「鉄道貨物運送量」といっても、そこに積まれる貨物の半分以上は石炭であり、さらに石油や鉄鉱石などを加えると74%にもなるそうです。
確かに、遼寧省は石炭の産地で、鉄鋼業も盛んですから、遼寧省に限定してみれば「鉄道貨物運送量」は有力な指標になるものと思われます。
ところが中国全体でみると、他の製造業は鉄道ではなくトラックで運ぶのが主流なのだそうです。それが事実だとするなら、「李克強指数」の大きな一角が崩れることになります。
また、銀行融資にしても、中国の銀行は国有セクターにばかり融資して、民間企業には余り貸出しませんから、それで中国全体を図るのも無理があると、丸川教授は指摘しています。
これらのことを加味した上で、丸川教授は2015年の中国の経済成長率は5.3%ではないかと試算しています。
まぁ、「李克強指数」が当てのならないのならば、丸川教授の説も一聴に値すると思います。
ただ、それでも、これまでの「保八」の成長からみれば、5.3%は大きく後退することになります。
お金は儲けられそうにもないところからは、逃げ出していくものですけれども、成長に陰りの見えた中国とて同じです。
今、中国からの資本逃避が加速しています。昨年の流出額は「過去最悪」の1兆ドル(約121兆円)に達し、投資家ジョージ・ソロス氏は「ハードランディングは不可避」との警告する程です。
このソロス氏の発言に対して、中国メディアは顔を真っ赤にして反論、ソロス批判のキャンペーンを行っているようです。
ソロス発言の後、人民日報海外版は「中国を空売りする者は必ず敗れる」と批判、新華社はソロスのことを「視力障害」だと罵倒しています。
ただ、逆にみれば、ソロス氏の発言は「痛いところ」を突いたともいえるわけで、決して楽観できる状況だと思わないほうがいいと思いますね。
日本政府も中国経済がハードランディングしたときのことを想定した上での政策を考えておくべきだと思いますね。
この記事へのコメント
髙村
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泣き虫ウンモ
まぁ、人民元をドルぺッグ制から外して人民元安に導いたのに輸出量がマイナスとか、そういう見方のほうが事実を反映しているかもしれませんね。
今は、ドルぺッグ制に戻したとか。