昨日の続きを極々簡単に……

2月17日、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は中谷防衛大臣との会談を行い、中国が西沙諸島のウッディ島に地対空ミサイルを配備したという報道について、「習近平主席が約束を守れないことの表れではないか」と述べました。
これは、昨年の米中首脳会談で、習近平主席が、人工島を軍事拠点化しないと発言していたことを念頭においた発言ですけれども、同じ発言をケリー国務長官もしています。
17日、ケリー国務長官は記者団に対し、「習近平国家主席は去年、オバマ大統領と会談し、南シナ海を軍事拠点化しないと明言したが、実際には着々と軍事拠点化を進めている証拠が次々と明らかになっている。……今後数日の間に、非常に真剣な協議を行うことになるだろう」と述べています。
ただ、約束を守れない相手に、真剣な協議をしてどれほどの効果があるのか甚だ疑問ですね。
まぁ、前回の米中首脳会談で「サイバー犯罪に対処する高位の対話メカニズム構築する」合意がされましたけれども、これとて、アメリカが水面下で制裁をちらつかせてやっとこさ引き出したものです。
ケリー長官の「真剣な協議」の中身がいかほどのものかは分かりませんけれども、少なくとも制裁並、あるいはそれ以上のものがないと、中国は歯牙にもかけないのではないかと思いますね。
今回の問題について中国は周辺に噛みつきまくっています。16日、中国の王毅外相は米FOXニュースが、永興島に地対空ミサイルを配備したと報じたことについて「西側メディアはニュースを作るようなことは止め、中国が南シナ海で提供する公的サービスにもっと関心を持ってほしい。……近く建設する気象観測施設がより注目されることを希望する」とも注文をつけています。
話を逸らしてますね。いくら公的サービスだと看板を掲げたとしても、隣に脅威があれば誰も寄り付かないのが道理です。公的サービスを行う島に、なぜ「地対空ミサイル」が居るのか。
まぁ、中国は説明できないでしょうけれども、万が一説明したとしても、それで周辺国が納得するかといえば、それもまた疑問ですね。何せ約束を守らない相手ですから。
近々ではインドネシア高速鉄道建設計画が早速トラブっていますね。
約束を守らない相手に、契約だの合意だのは無意味になります。もし、約束を守らない相手に約束を守らせることができるとしたら、それは「力づく」しかありません。
それが、今のアメリカに出来るとは、ちょっと思えない。あるいは次の大統領ができるのかもしれませんけれども、その保証はありませんし、それまでの間に、人工島が軍事拠点どころか軍事要塞になってしまっているかもしれません。
もし、アメリカが世界の警察官であることを辞め、力づくで言うことを聞かせる存在が世界から無くなったら、そこに現れるのは混乱と混沌になる可能性は非常に高いと思います。まだ世界は共存共栄できるほど成熟していません。
同じ世界に、複数の国家があり、ただ一国に征服されてない限りは「共存」になります。けれどもそこに「共栄」がくっつくためには、互いを尊重する関係の構築が必要になります。そのためには、ルールを決め、互いにそれを守ることで基盤を作っていくことになると思うんですね。でなければ、共に歩むことができなくなる。
無論、世界はその基盤のベースとなるルールを作ろうとしてきましたし、ある程度は作ることに成功はしていますけれども、完成には至っていません。なぜなら、そのルールを無視あるいは破る国があるからです。
残念ながら、まだ世界はそんな段階です。
ですから、お題目として唱えるなら「共存共栄」でよいかもしれませんけれども、現実は、そんな甘いものではない。いかにルールを守らせ、今の世界秩序の枠内に入れていくのかに注力するしかないということですね。つまり、「共存共栄」ではなくて、「共存矯正」をどうやっていくか。中国の問題は、それを突き付けているのではないかと思いますね。
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