今日はこの話題を極々簡単に……

1月27日、アメリカ太平洋軍のハリス司令官はワシントンで講演し、中国公船が尖閣周辺の日本領海への侵入を繰り返していることについて、「中国の攻撃を受ければ、アメリカは間違いなく日本を防衛する」と明言しました。
これは、昨年末頃から中国公船が武装した状態で領海侵入を行い、危険度が増していることを受けてのことだと思われますけれども、ここまではっきりということは、それだけの事が起こる可能性を認識しているということです。
これまでは、非武装船を送っていたのが、ここにきて武装船ですからね。
「中国の言う対話は口だけとは限らない」のエントリーでも取り上げましたけれども、日本は中国武装船が領海侵犯したら海自を出すと既に通達しているものと思われます。
それで尚、これですから、分かった上での行動であることは間違いないですね。
この行動について、中国は現在進行形で進めている南シナ海の内海化に日本が出張ってこないように牽制しているのだ、という見方があるようです。
ドイツのハイデルベルク大学中国研究所のジュリオ・プリエーゼ助教授は、遠く離れた南シナ海に自衛隊を派遣するようなことになれば、足元の東シナ海の防衛が手薄になるリスクがあることを、日本に思い出させようとしているのだという見解を示しています。
また、シンガポールのナンヤン工科大学S.ラジャラトナム国際研究大学院のコリン・コー・スウィー・リーン客員研究員も「日本政府が、東シナ海の状況はもう和らいでいるのだから、南シナ海に注意を向け始めることができるなどと『誤って』考えたりするといけないので、日本の注目を東シナ海に縛りつけておくことに関心があるのだ」と指摘しています。
確かに安倍政権は「積極的平和主義」を掲げ、ベトナムやフィリピンに巡視船を供与したり、P-3Cを南シナ海で定期パトロールさせたりなど、南シナ海への介入の姿勢を見せています。
中国はそれを嫌って、させないように、喉元の尖閣を挑発して首を突っ込ませないようにしている、という訳です。
確かにそれはあるかもしれません。ただ、だからといって、指を咥えてみていると何が起こるかというと、南シナ海の人工島を中国が要塞化していくことは目に見えています。
1月27日、この南シナ海の人工島の軍事拠点化について、中国の王毅外相は「島には、自衛のために必要な施設がある。……国際法は、いかなる国家に対しても自衛権を与えている。……自衛権の行使を軍事化だと言うのなら南シナ海はとっくに軍事化されている」と述べています。
日に日に軍事拠点化しておきながら、この発言です。しかもこれは北京でアメリカのケリー国務長官と会談したあとの共同記者会見での発言ですからね。ケリー国務長官も随分とナメられたものです。
米中外相会談については北朝鮮に対する制裁を巡って物別れに終わったとの報道がありますけれども、それ以外でも平行線で終わった可能性もありますね。
中国は南シナ海の野望を全く捨てていない。アメリカも引き下がる積りはない、となると、衝突コースです。ただ、衝突するにしても、いきなりアメリカ軍相手にドンパチできるとは思えない。それよりはもう少し弱い相手、戦って勝てる相手を選んで仕掛けるのが普通だと思います。
その相手が日本である、と言い切る積りはありませんし、また通常兵器で自衛隊が中国軍に負けるとも思いませんけれども、それは「まともに防衛行動」が取れるという前提があってのことです。攻撃されるまで、こちらから撃ってはならない、なんて縛りがある中で、ミサイルの飽和攻撃でもされたとしたら、どうやって防ぐのでしょうか。
そう考えると、憲法の縛りやなんやらで雁字搦めになっている今の日本がどこまで反撃できるのか、心許ないところがあります。
その意味では、尖閣での日中局地戦の可能性を捨てるべきではないと思いますね。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
日本にプレッシャーをかけてくる.
全面戦争に広がる可能性も考えて
しっかりと対処すべきだろう.
ポール
泣き虫ウンモ
ただ、軍隊というか兵を一時的にでもマネキン状態にしたならば、保持している武器も生かせなければ奪われる可能性もあるので、優劣が逆転しかねないかなぁと。
宝の持ち腐れというヤツでしょうか。