昨日の続きを極々簡単に……。

2月1日、中国外務省の陸慷報道官はアメリカの「航行の自由作戦」について、「航行の自由作戦は実際には皆が認める国家法に符合せず、多くの沿海国家の主権や安全、海洋権益を無視し、地域の平和と安定に深刻な危害を与えている。……航行の自由の名を借りて、米国の海上覇権を拡大しようとしているもので、国際社会、特に発展中の国家の断固たる反対に遭っている。米国のやり方は危険で無責任だ。……米国は航行の自由の看板を掲げて武力を誇示し、緊張を作っている。それはまさしく南シナ海の軍事化を推し進める最大の誘因だ。他人に損をさせ、自分の利益にもならない行動を停止するよう、米国にご忠告申し上げる」と激しくアメリカ批判しました。
これは、1月30日に米海軍横須賀基地所属のイージス駆逐艦カーティス・ウィルバーが、「航行の自由作戦」の一環として、南シナ海のパラセル諸島にあるトリトン島から12カイリ(約22キロ)内を中国、ベトナム、台湾の何処にも事前通告することなしに航行したことを受けてのものです。
昨日のエントリーで、米太平洋軍のハリー・ハリス司令官が講演で、尖閣が攻撃されたら、日本を護ると述べたことを紹介しましたけれども、ハリス司令官は、同じ講演で「米国は南シナ海における中国の主張に対抗しつづける。個人としては南シナ海の島は中国のものではないと認識している」と述べているんですね。
時系列でいえば、ハリス司令の講演が1月27日、イージス艦にパラセル諸島付近を航行されたのは1月30日ですから、正に「有言実行」したというわけです。
これに対して、中国は猛烈に反発しています。
ハリス長官のコメントについて、「驚いた。歴史の常識が完全に欠落している。中国は南シナ海の諸島と周辺海域に対する主権を有している。これは歴史及び法理の根拠が十分にあることだ……中国は一貫して当事国の協議により平和的に解決することを主張してきた……域外の国が指図すべきでない。無知な言葉で離間させようとしてはならないことは、なおさらだ。……米太平洋軍のハリー・ハリス司令官が、このような無責任な個人の見解を発表するのは、時局に合わない。内容は完全に間違っている。……もし、個人の見解を発表する必要があるなら、次に公開の場で発言する前に、南シナ海の問題の歴史的経緯をよくよく研究しておくことをご提案する」と反論しています。
一ミリたりとも引き下がる積りはないようです。
ただ、中国も口では達者なことを言っているように見えますけれども、話している内容は、平たくいえば、「南シナ海の島々は、昔は俺のものだったから、今でも俺のものだ」と言うものです。
そこには、国際法や法の支配の概念が抜けていますね。まぁ、"法理の根拠"等と言っていますけれども、その"法"は中国の国内法で"国際法"でないことは明らかですね。でなければ、「航行の自由作戦」なんて起こり得ませんから。
これで、中国が人工島の軍事拠点化を止めない場合は、人工島を射程に収める位置にミサイルを配備するとか、台湾への武器供与という具合に更なる軍事圧力を掛けることになる可能性が出てきます。
少なくとも、中国沿岸の周辺国を、アメリカ側につけておくことが重要で、しばらくは、ASEAN諸国の自陣営への取り込みを狙った水面下での工作が活発になっていくのではないかと思いますね。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
ASEANは弱い国々の集まりだから強い国に付く.
日本が米国と組になって実力行使が出来ることを
証明しないと支那の暴挙はそのまま現状肯定になるだろう.
安倍首相にその道を選べるか甚だ疑問である.
もう一つの道は, バブル崩壊を機に経済的な
仕掛けをして支那が立ち上がれないようにすること.
しかし, 支那はグローバリストの領地であるから,
グローバリストの首相には出来ないだろう.
結局, 現状肯定にならざるを得ないのではないか.
宮崎正弘がメルマガで保守の政治家がリベラルな
政策を採用していると批判しているが, 実際には
保守の党の党首が極端なりベラリストなのである.
株価以外には経済的な実績のない首相になぜこれほどの
支持が集まるのか不思議であるし, 不自然でもある.
米国を見てもリベラリストに世界の安定化は難しいのである.
米国が台湾防衛のために本腰を入れるなら,
安倍首相も追従するだろう.
宮崎正弘のメルマガには台湾は米国のオブザーバの
監視下にあると述べられている.
残念ながら, この線が一番強い.
悲観的な予測で申し訳ないが.