今日はこの話題を極々簡単に……

インドネシア高速鉄道に暗雲が立ち込めています。
先日、起工式が行われたものの、その後工事が中断しています。
その理由は建設許可が出ていないためで、インドネシアの運輸省によると、建設を請け負う中国とインドネシアのコンソーシアムが必要な書類を提出していないということのようです。
インドネシアの当局者の一人は、一部の書類が中国語で書かれているため手続きがなかなか進められないとコメントしています。しかも、中国の計画では、4駅のうち1駅が空軍基地の敷地内に予定していて、計画見直しを求める声もあがっているようです。無茶苦茶ですね。
工事許可が出たのはわずか5キロ。計画では、2019年にジャカルタとバンドン間の約140キロの高速鉄道が開業予定となっているのですけれども、予定通りに工事が進む可能性は限りなく低いと一部メディアが報じています。また、ジャカルタ在住の政治アナリスト、ポール・ローランドによると「この計画を2年ほどで終えられると思うのは、もともときわめて希望的な観測だった」そうですから、計画から妖しい匂いが漂います。
2月3日、インドネシア運輸省は、建設を担う中国とインドネシアの合弁会社に対し、地震対策を強化し、鉄道の耐用年数を延ばすなどの改善を求めたと発表しました。運輸省幹部によると、予定路線は地震が起きやすい地域を通るとして、「地質調査をすべきで、地震の早期警戒システムの設置も必要」と強調し、耐用年数も60年間とした会社側に対し、100年間にするよう求めたようです。
更にインドネシア政府は、工事期間中にトラブルが生じた場合の責任を中国が持つこと、途中で工事を放棄した場合、現状回復の責任を持つことを誓約書に追加するように要請したとも伝えられています。
評論家の宮崎正弘氏は「ジャカルタ-バンドン間は高い山や崖、川が多く、難工事は避けられない。加えて、中国の破格の融資も疑問だ。一方的に利息を上げたり、全額返済を求めたり、政治的に利用しかねない。ミャンマーやカンボジアでもモメている。インドネシアに莫大な借金だけが残るのではないか」とコメントしていますけれども、地形の険しいところを鉄道、しかも高速鉄道を走らせるとなると、それ相応の高度な建設技術が要求されます。
当初、日本がこの計画に入札するにあたって、ボーリング調査など、必要な調査をやっています。けれどもそれは、日本が建設する前提の計画だった筈です。
今回の中国の計画は日本のものと瓜二つと言われていますけれども、中国側は、ボーリング調査を行った形跡もなく、一部には流出も噂されるほどです。
まぁ、中国に日本と同程度以上の建設技術があるなら未だしも、そうでないのなら安全面に不安がありますし、更にインドネシアは、耐震強化と耐用年数の延長を求めています。要するにハードルが上がっている訳ですね。
これに対して、建設を請け負う中国とインドネシアの企業連合は、政府保証を要求しています。運輸省が契約から50年後に負債のない状態での譲渡を求めているのに対し、企業連合はより長い期間を要求し、事業破綻の場合、政府が買収するよう要求。それができなければ中国側に所有権を移すよう求めているようです。
ここで注意しなければならないのは、破綻した場合、中国に所有権を移せという部分です。計画では4駅のうち1駅が空軍基地の敷地内に設けることになっています。もし、鉄道の所有権が中国に渡れば、空軍基地の敷地内に中国が所有する土地が出来るわけです。後は説明するまでもありません。非常に危険です。
まぁ、中国の事ですから、最初からそれを狙っている可能性もあります。
インドネシア高速鉄道計画の結末がどうなるかは注目に値すると思いますね。
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