表裏比興の財務相
今日は雑談です。
3月10日、麻生財務相は参院財政金融委員会で来年の消費増税について1年半前とは「経済状況が違う」とし予定通り消費増税を実施したいと述べました。
麻生財務相は、足元の日本経済のファンダメンタルズについては「しっかりしているが地域差がある」とした上で増税ができる経済状況を作りつつあると述べたそうなのですけれども、とても本気で言っているとは思えません。
実質GDPは二期連続でのマイナス成長。日銀がマイナス金利を打ち出す程なのですから、目下の景気が良い筈がありません。
日銀のマイナス金利政策は、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部の金利をマイナス0.1%とするもので、銀行の融資や投資を促し、設備投資や個人消費を底上げを図るというものです。
けれども、いくら投資を促すといっても、景気が悪いままでは、投資するにしても二の足を踏むのが普通です。そこを無理に投資させるということは、要するに今以上に金融機関に投資リスクを取らせるということです。
供給サイドを背中を押して市中に金を回そうという手なのですけれども、一方需要サイドはというと、消費増税の影響で消費が冷え込んでいます。
その上に10%なんてしようものなら、もっと冷え込むことは間違いありません。
東洋経済のこちらの記事では、既に家計の無駄を削りに削った家庭が増えていると報じています。
実際、総務省の「家計調査」によると、2人以上世帯のうち勤労者世帯の実質可処分所得は、名目で1997年の59万5214円を頂点に2015年には40万8649円まで下がっています。これはバブル景気開始直前の1985年の41万3885円以下です。つまり、可処分所得でみる今の景気はバブル前の水準になったということです。
この状況でなお消費増税など狂気の沙汰としかいいようがありません。
財務省は昨年10月に財政制度等審議会が提出した資料の中で、財政再建が進まない場合、増大する社会保障費を消費税でまかなうためには税率を「最高32%」まで上げなければならないという試算を公表して、増税先送り論を牽制しているという話もありますけれども、あまりに酷過ぎて、牽制というよりも反発しか生まないのではないかとさえ感じます。
過去の消費増税はいずれも中長期的に税収が減っていますからね。常識的には増税見送り、できれば消費減税して5%に戻すべきではないかと思いますね。
今年の大河ドラマ「真田丸」の主役は真田信繁(幸村)ですけれども、これまでの放送では主役は、草刈正雄演じる真田昌幸だと筆者は思っています。
真田昌幸については以前「上田城合戦」などのエントリーで取り上げたことがありますけれども、真田昌幸は希代の戦略家で「表裏比興の者」と呼ばれました。
表裏比興とは、態度や去就をコロコロと替える者、変わり身の早い者という意味とされていますけれども「真田丸」の真田昌幸も言うこと、態度をコロコロ変え、縦横無尽に謀を巡らせます。その智謀は、堺雅人演じる真田信繁をして「あの人達が恐ろしい」と言わしめる程です。
願わくば、麻生財務相には真田昌幸ばりの"表裏比興"を発揮いただいて、最後の最後で、増税反対に回っていただきたいものだと思いますね。
この記事へのコメント
おお
日比野