双竜の抑止力
今日はこの話題を極々極簡単に……。
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3月12日、米韓連合軍は韓国南東部の浦項で、米韓の海兵隊と海軍の約1万7200人(韓国軍約5000人、アメリカ軍約1万2200人)が参加する「双竜訓練」を内外メディアに公開しました。
これは、3月7日から4月末まで行われる定例の米韓合同演習(キー・リゾルブ)の一環なのですけれども、韓国での上陸訓練としては過去最大規模としています。
例年は上陸迄の所、今年は内陸部の進撃を想定した訓練も行ったようです。
上陸訓練には強襲揚陸艦など艦艇が30隻、水陸両用装甲車は40台、航空機は輸送機など70機余りが参加。北朝鮮の海岸に上陸した後、内陸に進撃して主要基地を無力化し、北朝鮮の指揮部を打撃する内陸進撃演習が大幅に強化されています。
また、今回の訓練には「作戦計画5015」をベースに実施されるとしています。
「作戦計画5015」とは、米軍と韓国軍が共同で作成し、2015年6月に合意・署名した北朝鮮への新たな戦争計画で、従来の「作戦計画5027」に変わるものです。
「作戦計画5027」は、1974年、北朝鮮軍が南に侵攻した場合に備え、米韓連合軍の極秘計画として作成されたもので、全面戦争に近いものを想定していたと言われています。
「作戦計画5027」は北朝鮮が全面戦挑発を行った場合、しばらくは防御に重点を置き、開戦から90日以内に大規模な米増援軍を朝鮮半島へ派遣し、北朝鮮政権を倒す計画ですけれども、その増援は兵力69万人、空母打撃群5個をはじめ艦艇約160隻、航空機約1600機などという大規模なものです。
けれども、これだけの大舞台を送るとなると、戦費も時間も掛かります。増援が着くまで3ヶ月もあれば、北朝鮮軍が韓国をミサイルでつるべ打ちしている可能性が大いにあります。
実際、「作戦計画5027」を実施したときの被害は、米軍5万2千人、韓国軍49万人、民間人100万人以上の死者が出るとの予測がされたようです。
韓国軍の関係者らは「作戦計画5027の通りなら、韓国が勝つにしても『廃虚の中の勝利』になるほかないというのが問題だった」と述べています。
これに対し「作戦計画5015」は、南北間で局地的衝突が発生した時点でただちに北朝鮮の首都平壌を先制的に攻撃する計画です。この中には、北朝鮮の核・ミサイル発射の兆候が見られたら、30分以内に先制打撃するという韓国軍の「キルチェーン」の概念も含まれており、より「斬首作戦」に近い色合いを帯びた作戦とみていいと思われます。
今回の作戦について、指揮官の一人である韓国軍の李承都准将は訓練現場で「我々韓米の海軍と海兵隊は危機発生時に即時投入され、敵の中心を打撃する」とコメントしているとおり、北朝鮮が韓国に侵攻すれば、米韓側には首都平壌を占領する能力があることを示して軍事的圧力を強める狙いがあるものとしています。
これに対して、北朝鮮軍総参謀部は「平壌進撃作戦」による体制転覆を狙った「新作戦計画5015」の一環であり「無謀だ」とし、「ソウルを含む南朝鮮(韓国)全地域の解放作戦で対応する」とする非難声明を発表しています。
「作戦計画5015」の固有名詞を出すということは、「双竜訓練」の意味を理解しているということですから、その意味で牽制効果、或は軍事・外交メッセージは北朝鮮にちゃんと届いているということですね。
3月10日、北朝鮮は日本海に向けて短距離弾道ミサイルを発射していますけれども、米韓合同演習に投入している兵力に対抗するだけの力はなく、一定程度の挑発で収まるだろうと見られているようです。
こうしてみると、在韓米軍、在日米軍の抑止効果は明らかです。訓練という"戦ごっこ"で戦争が避けられるのであれば、最上の結果とすべきだと思います。やはり日米同盟、在日米軍の代わりが無い限り、これが東アジアの平和の要諦だと改めて認識する必要があると思いますね。
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