北朝鮮の時間稼ぎとラストチャンス
今日はこの話題です。
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3月25日、北朝鮮の朝鮮中央通信は金正恩第1書記が長距離砲を用いた軍の「集中火力打撃演習」を指揮したと報じました。訓練は百数十門に及ぶさまざまな口径の長距離砲を用いて「史上最大規模」で行われたとし、「『精密打撃訓練』を敢行した朴槿恵逆賊一味の本拠地であるソウル市を火の海にするため」と伝えています。
訓練の場所や日時は明らかにはなっていませんけれども、韓国軍当局は24日に東海岸の江原道・元山一帯で行われたとみているようです。
訓練に立ち会った金正恩は「いったん命令が下れば、悪の巣窟であるソウルの統治機関を無慈悲に破壊して進軍し、祖国統一の歴史的偉業を遂げなければならない」と述べたと伝えられています。
これは、毎年2月~3月にかけて実施されている米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」に対抗すると同時に、核実験などに対する国際社会の制裁圧力に屈しない姿勢を示すことで、内部の体制結束を図る狙いがあると言われています。
ただ、「キー・リゾルブ」は18日で終了していますから、北朝鮮の訓練が24日に行われたとするならば、一応、朝鮮戦争再開は避けたといえるのかもしれません。「キー・リゾルブ」中に戦端を開いたら、「キー・リゾルブ」の戦力がそのまま北朝鮮に向けられますからね。それは嫌だったのでしょう。逆に言えば、「キー・リゾルブ」に投入された程度の兵力とも正面切って戦う力はない、と見ることもできますね。
仮に北朝鮮が今の米韓の軍と正規戦で勝てないと判断しているとするのなら、次に考えるのは、当然ながらゲリラなどの「非対象戦」か核ということになります。
今回の「キー・リゾルブ」では北朝鮮の核・ミサイル施設への先制攻撃作戦や「斬首作戦」も念頭においた訓練を行ったとも伝えられていますけれども、これはつまり、米韓は、これまで北朝鮮が想定していたような「非対象戦」をする気がないということも意味します。
北朝鮮にしてみれば「非対象戦」という選択肢を潰されたということになります。となると、残るは核による抑止力を持つしかなくなるということです。
実際、北朝鮮はその道をひた走っています。
北朝鮮は"水爆"実験に続いて長距離弾道ミサイル発射実験を立て続けに行っていますけれども、核ミサイルを持っているということを世界に認めさせることで、金王朝の維持を図っているのだと思いますね。また、それだけでなく、核を背景にした半島統一の野望も捨てていないと思いますね。
けれども、専門家の中には、北朝鮮は弾頭の再突入技術がないため、大陸間弾道ミサイルは持っていないと指摘する人もいるようです。
大陸間弾道ミサイルは、発射後、一度大気圏外に出て、弾頭部分を目標に落下させる武器です。そのためには大気圏への再突入しても弾頭が燃え尽きないようにしなければなりません。大気圏への再突入すると弾頭は摩擦により数千度の高熱にさらされますから、それに耐えるだけの耐熱処理を弾頭にしなければなりません。ところがその技術が北朝鮮にはない。そのことから北朝鮮は大陸間弾道ミサイルは持っていないというのですね。
確かに2月のミサイル発射では、弾頭の大気圏再突入は行われませんでした。ところが、やはり北朝鮮もそのことは分かっているのでしょう。今月15日、朝鮮中央通信が弾道ミサイルの弾頭部分の大気圏再突入模擬実験に成功したと報じています。
実験は、大気圏再突入時に生じる高い圧力と熱を想定し、弾頭先端部のダメージや内面温度を測定し、保護材料の安全性の確認を行うというもので、朝鮮中央通信によると「実験結果は全ての技術的指標を満たした。……弾頭部分の大気圏突入の信頼性が保証された」として、金正恩が実験後の先端部とみられる円錐形の物体を見ながら説明を受ける写真を公開しています。
まぁ、模擬実験ならいくらでもブラフが出来ますからね。その真偽は別として、北朝鮮が一刻も早い核ミサイル配備を狙っているとみて間違いないと思います。
ここの所、北朝鮮は矢継ぎ早やに韓国やアメリカを挑発しています。
3月25日、北朝鮮は観光客向けに自国をアピールするために開設した「dprktoday.com」に「ラスト チャンス」というタイトルの動画を公開しました。
これは、アメリカと北朝鮮の歴史を振り返る内容で始まるのですけれども、潜水艦から発射した核ミサイルがワシントンのリンカーン記念堂付近に着弾し、星条旗が炎で包まれて終わるという内容となっています。
また、翌26日には朝鮮人民軍が朴槿恵大統領の謝罪と責任者の処刑を要求、応じなければ「無慈悲な軍事行動に移る。……発射ボタンを押せば敵陣は一瞬にして灰燼(かいじん)と化すことになる」と威嚇しました。
おそらく、北朝鮮は"本当に使える"核ミサイル配備するための時間が欲しいのだと思います。数々の挑発・威嚇もそのための時間稼ぎだと思いますね。
29日には、日本の安保法が施行されますけれども、それだけでなく、本当に国を護るためにやるべきことを行える「ラストチャンス」が今年なのではないかと思いますね。
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almanos