防衛装備移転協定と防衛の鎖

 
今日はこの話題を極々簡単に……

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2月29日、日本政府はフィリピンのマニラで、石川和秀駐フィリピン大使とヴォルテア・ガズミン・フィリピン国防大臣との間で「防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定」の署名が行われました。

これは「防衛装備移転三原則」に基づいてフィリピンに防衛装備品を輸出する際の枠組みとなる協定です。

防衛装備移転三原則とは、日本政府がとる武器輸出規制よ運用の原則のことです。

これまで日本は、「武器輸出三原則」を掲げてきたのですけれども、こちらは、基本的に武器の輸出や国際共同開発をほぼ認めず、必要に応じて都度、例外規定を設けて運用する内容でした。要するに融通が利かない原則だったのですね。

これに対して、防衛装備移転三原則は、武器の輸出入を基本的に認め、その上で禁止する場合の内容や、厳格な審査を規定する内容になっています。

まぁ、武器輸出三原則が武器輸出のポジティブリストだとすれば、防衛装備移転三原則はネガティブリストに相当するといっていいでしょう。

防衛装備移転三原則はざっと次のような内容です。

(1)紛争当事国よりなどに該当しない
(2)我が国の安全保障に資すると判断できる
(3)目的外使用や第三国移転をしないと相手国が約束した場合に、武器を輸出したり、国際共同開発に参加したりできる。

これをみて分かるとおり、相手国に武器を輸出する場合には、相手国に対して三番目のルールを守って貰わないといけないということです。

今回のフィリピンとの協定は、防衛装備移転三原則の三番目のルールを担保するものなのですね。

これまで日本はフィリピンにODAで、40メートル級の多目的船10隻を提供することで合意していますけれども、今後は、フィリピンの必要とする武器も供給できるようになります。

早くも、日本はフィリピンに海上自衛隊の練習機「TC90」を貸与するとしています。

TC90はホーカー・ビーチクラフト社が開発した双発ターボプロップビジネス機を改造した連絡輸送機で、現在海自の練習機として徳島の第202教育航空隊に配備されています。

元々フィリピンは、海自のP-3Cを欲しがっていたのですけれども、P-3Cは高度な運用能力が求められることから、手始めとしてTC-90を貸与することにしたようです。

日本は、この種の移転協定をアメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス、インドと結んでいるのですけれども、意外にもASEAN加盟国と移転協定を結ぶのは、フィリピンが初めてなのですね。

外務省は声明で、協定の締結は「わが国の安全保障に資することが期待される」としていますけれども、インドネシアやマレーシアとも同様の協定を結ぶことを目指しているようです。

この協定を結んだ国々をみて分かるとおり、見事にシーレーン防衛と対中国の牽制が入っています。この協定をインドネシアやマレーシアとも結べば更に強固になります。

中国の真珠の首飾りの向こうを張った「防衛の鎖」ですね。

まぁ、どうせ中国は反発するでしょうけれども、そもそも自分達が人工島を軍事拠点にしなければ、こんなことにはならなかったと思われます。

南シナ海の緊張を生み出しているのは自分自身であると、中国は深く自覚すべきだと思いますね。

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