トランプ旋風は桜の木を折るか

 
今日はこの話題です。

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トランプ旋風が吹き荒れています。

3月1日に行われたスーパーチューズデーで共和党はトランプ氏が圧勝。トランプ氏が7州、クルーズ氏が3州、ルビオ氏が1州でそれぞれ勝利しました。

これで、トランプ氏は12戦7勝。代議員合計で556人を確保しました。共和党の代議員は全部で2472人。指名を獲得するには、過半数の1237人を得ればいいのですけれども、トランプ氏は早くもその半数近くをゲットしたという訳です。

スーパーチューズデーの前からトランプ氏の圧勝は予想されていましたけれども、ここまで勝つと、流石にトランプ氏の大統領候補者指名が見えてきます。

実際、アメリカ米主要紙のベテラン政治記者の中には「共和党主流派の面々もいよいよ『トランプの現実(Trump Reality)』を考えざるをえなくなってきたようだ」とコメントする人も出てきているようです。

歯に衣着せぬ発言で知られるトランプ氏ですけれども、3月3日の共和党候補討論会で、テロリスト容疑者に対して、自分が大統領に選出されたら、水責めより「はるかにひどい」ことを行うと述べ、それがテロリスト容疑者の家族を対象にしても問題ないと発言。更に「中東で人の首をはねる、けだものの奴らを想像してみてほしい。われわれが水責めを行うにも手を焼いているのを眺めながら、ああだこうだ言ってるんだ」と爆弾発言をしました。

ところが翌4日になって、トランプ氏は「テロリストを阻止するために私はあらゆる法的権限を行使する。しかし、米国が法と条約に拘束されていることは理解しており、わが国の軍やその他の関連部局にそうした法に違反するような命令を下すつもりはない。そうした問題については軍や関連部局に助言を求める」とウォール・ストリート・ジャーナルに声明を発表しました。

流石に拙いと思ったのでしょうか。訂正する姿勢は良いのですけれども、配慮に欠ける発言だと言わざるを得ません。

これ程過激な発言を続けるトランプ氏がなぜここまで人気を集めるのか。

トランプ氏はアメリカでは既によく知られた人物です。それは大富豪であるということだけではなく、永らく人気番組の出演していたことも大きく影響しているようです。

アメリカの人気番組に「アプレンティス」というのがあるのですけれども、これは、その名のとおり応募者の中から選ばれた十数名が「見習い(=Apprentice)」として働き、司会を務める実業家が経営する会社への正式採用を目指すというものです。

司会は様々な課題を出し、参加者は個人やグループ単位で課題に取り組むのですけれども、毎週、番組の最後に司会が脱落者を1人決め、最後まで生き残った参加者が本採用になる、というものです。

日本でも似たような番組が企画され、2006年に日テレが参加者を募集していたのですけれども、協賛企業との折り合いがつかなくなったことを理由に企画は中止されました。

「アプレンティス」では、課題の最後に、参加者全員をボードルームに集め、勝者を発表し、脱落する敗者に「君がクビだ! (You're Fired!) 」と宣告します。

「アプレンティス」は2004年から2007年迄放送され、2008年からは有名人が参加する「セレブリティ・アプレンティス」という後継番組が2012年まで放映されました。

この番組は全米で数百万から数千万の視聴者が視聴していると言われているのですけれども、この「アプレンティス」でトランプ氏がずっと司会を務めていたのですね。

トランプ氏は毎週参加者の一人に「お前は首だ!」と高圧的な態度を取り、そういうキャラを作って見せているのだという風に受け止められているようなのですね。それがトランプ氏の過激発言も本心からそうなのだと余り受け止められてはいないとの指摘もあるようです。

また、トランプ氏の話し方は裏がない正直な口調で話すそうで、攻撃的な発言や個人攻撃、失言ですら、逆に魅力的に写るという声もあるそうです。失言が失点にならないというのは相当なアドバンテージではないかと思いますね。



アメリカ大統領で「正直者」というと、真っ先に頭に浮かぶのは、初代大統領のジョージ・ワシントンです。子供の頃、勝手に桜の木を切ったことを正直に父に話して褒められたという逸話は有名ですね。

けれども、この有名は逸話はどうも「作り話」だったという指摘がされています。ワシントンが生まれたのは1732年ですけれども、日本からワシントン市に桜を贈ったのが1912年で、180年くらいギャップがあります。

この逸話は「逸話で綴るワシントンの生涯」という本にあるのですけれども、実は、初版から第4版までにはこの話は載っていないのだそうです。この桜の木の逸話が出てくるのは、1806年の第5版からです。

この本の著者は、作家のパーソン・ウィームズという人なのですけれども、どうも当時から他人の逸話を適当にパクって自分の著書に乗せるという悪評があったようです。

桜の木の逸話にしても、本の売上を伸ばそうとしたかったらしく、後日、ウィームズ自身「ジョージ・ワシントンの生涯」に作り話があることを認めています。

これが本当だとすれば、とんでもない「美談」だということになりますね。

ただ、その「創作美談」が延々と語られ、受け継がれていくところを見ると、ワシントンの本当の姿もやはり「正直者」だったという可能性はあります。流石に300年もの長きに渡って、嘘が語り継がれるのは無理だと思うんですね。

日本にも、トランプ氏が大統領になったらヤバいという声がちらほらと出ているようですけれども、テロリスト容疑者への水責め発言の撤回の様に、本当に大統領になったら現実路線になるという見方もないわけではありません。

現時点では何ともいえないですね。

果たして、「桜の木」は切り倒されるのか、それとも、人気集めの「創作」に過ぎないのか。しっかりと見極める必要があると思いますね。

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    米国には「Change! Change!」と言って本当に世界を
    混沌に導いた大統領がいるのだから, トランプ位で
    驚いていても仕方がない.

    要は! 政界の当たり前の人々は政治家の言う「politically correct」
    にあきあきしていると言うこと.

    しかし, これは別に海の向うだけの話しではない.
    我が総理大臣も当たり前の日本人の期待を一身に集めながら,
    やることは消費税増やTPP, 外国人(労働者)導入である.

    国民の希望を採り上げるとすぐにポピュラリズムだとか
    独裁者になろうとしているとか言うが, そもそも国民の
    幸福を考えるのが政治家なのだ.

    しかるに, 国民の希望をかなえるのは間違っているとか,
    堕落するとか, 民族主義だとか, およそおかしな政治哲学が
    世界中に蔓延しているのがおかしいのである.

    これはグローバリズム, あるいは漸化的社会主義革命主義
    に我々の頭が洗脳されているからであることに気が付かなければ
    日本にも明日はない.
    2016年03月07日 13:17
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > 政界の当たり前の人々は

    「世界の」当たり前の人々は
    2016年03月07日 13:19

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