今日はこの話題を極々簡単に……

6月15日、政府は、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻が鹿児島県沖の領海内を航行したと発表しました。
それによると、15日午前3時半頃、中国軍艦は口永良部島の西8カイリ(約15km)から侵入。その後、南東に向かい1時間半にわたって領海内を航行したあと、午前5時ごろ、屋久島の南の沖合で領海を出たということです。中国海軍の艦艇が領海に入ったのが確認されたのは、平成16年以来2回目となります。
現在、沖縄の東の太平洋で海上自衛隊とアメリカ海軍、インド海軍による共同訓練「マラバール」が行われているのですけれども、防衛省によると、中国の情報収集艦は、インド海軍の艦艇2隻を追尾して領海に入ったとのことで、共同訓練への妨害や情報収集活動をしていた可能性が高いと防衛省は見ているようです。
「マラバール」は1992年に始まった共同訓練で、一度1998年から2002年までの中断を挟んで、その後毎年行われている訓練です。アメリカとインドの二ヶ国で行うことを基本として、他の国が招待されることもあります。日本は過去2007年、2009年、2014年と招待参加しています。
今年の「マラバール」は6月10日から17日まで行われます。訓練は日本の海上自衛隊とアメリカ海軍、インド海軍のあわせて10隻が参加。軍艦や潜水艦に3ヶ国が協力して対応する訓練や、海上で遭難者などを捜索・救難するための訓練を行い、戦術面の連携強化や相互理解を進める狙いがあるようです。
中国はこの「マラバール」を相当警戒しています。2007年にインド洋ベンガル湾で行われた2回目の「マラバール」は、日本、オーストラリア、シンガポールが招待国として合同訓練をやったのですけれども、中国は猛反発して、外交圧力を物凄く掛けたのですね。結局当時のインド政府は中国の圧力に屈して、「マラバール」がインド洋で行われる際には、アメリカとインドのの2国演習に限定したとされています。
けれどもその限定も昨年辺りから破られました。去年の「マラバール」はアメリカ、インドに日本が参加しているのですけれども、この年から日本は招待国としてではなく、正式メンバーとして参加しているのですね。今後も正式メンバーとして参加するとも言われています。
因みに訓練内容はといえば、去年の「マラバール2015」は、敵潜水艦、水上艦、航空機破壊の演習だったのですけれども、今年の「マラバール2016」は軍艦や潜水艦に3ヶ国が協力して対応する訓練や、海上で遭難者などを捜索・救難するための訓練を行うようです。
インド洋では、潜水艦、水上艦、航空機破壊の訓練で、沖縄の東では軍艦や潜水艦に対する対応と、海上遭難者の救助ですからね。実に分かり易く、実際に有り得る事を想定しての訓練のように見えますね。もうどこの国を想定しているかバレバレですね。
中国は、日本が「マラバール」を通じて、自国周辺以外にも活動範囲を広げていくことについて警戒し、更には、ヨーロッパのNATOのようなアメリカ主導の安全保障グループ作りとする見方もあるようです。
6月9日、インドと中国が領有権を争い、インドの実効支配下にあるインド北部アルナチャルプラデシュ州に中国人民解放軍が侵入していたことが明らかになっていますけれども、これなんかはもう、明らかに「マラバール」に対する牽制ですね。
それだけ「マラバール」によって、インド洋から南シナ海、東シナ海の防衛体制が固められるのを嫌がっているということです。丁度この辺りはシーレーンですからね。ここを如何に抑えるかが日本の命運を左右するともなれば、疎かにできないどころか、積極的に活用していくべきだと思いますね。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
現実に軍艦の領域内通行を許してしまうなら
既に手の内を見られたと言うことだろう.
支那軍艦への対応は当然首相の命令によるものである.
従って, 安倍首相の肝の座り具合が見られたことになる.