今日はこの話題を極々簡単に……

6月23日、イギリスでEU離脱の是非を問う国民投票がはじまりました。同日深夜に投票は締め切られ、翌24日早朝に大勢が判明すると見られています。
事の起こりは、2009年10月のギリシャ政権交代に伴う欧州債務問題に端を発します。2011年に欧州債務問題が深刻化し「ユーロ危機」を迎えると、その年の10月に保守党議員の一部がEU離脱に関する国民投票の実施を求める議案を下院に提出します。
この時は保守・自由民主・労働の主要3党が反対し、111対483で否決されたのですけれども、保守党から多数の造反者を出したこともあり、この問題は燻り続けます。
2013年になると、キャメロン首相は保守党のEU懐疑派の強い圧力に抗しきれず、2015年の総選挙のマニフェストとして、イギリスとEUとの関係について再交渉し、EU残留・離脱を問う国民投票の実施を公約せざるをえなくなります。
2015年には、保守党単独政権となり、キャメロン政権はEU改革を求める交渉に着手。EUに対しユーロ改革が非ユーロ圏に悪影響を及ぼさないことの保障、規制撤廃 による競争力の確保、EU移民に対する規制などを求める一方、EU残留・離脱国民投票を実施するための法案が制定、今年の2月に国民投票を6月23日に行うと発表されました。
残留か離脱か、各種世論調査では、両者は拮抗しどちらが有利か分からない状況のようですけれども、両者はどういう主張をしているのか。
ジョンソン前ロンドン市長をはじめとする離脱派は「国としての主導権を回復する」と述べていますけれども実際のところは「これ以上移民・難民を受け入れられない」というのが本音のようです。
イギリスは社会保障が手厚く、正式な手続きを踏んで難民として受け入れられれば、福祉手当や無料の国営医療制度の利用や、住居を提供されたりしています。
これらにより、特にロンドンでは移民による人口増加が問題となっていて、1年に5〜6万ほどの住宅が必要になっているそうです。けれども、その新築の住宅を何処に作るかについては、郊外地域の住民が静かな暮らしを望み住宅建設を認めないという事情からロンドンに作らざるを得ない状況です。当然ロンドンの地価、住宅価格は高騰し、庶民が家を買えない状況となっています。
対策として、ロンドンは、かつての造船所を取り壊して再開発をしてはいるのですけれども、全く追いついていない状況です。
こうなると、移民を制限しろ、という声が上がるのも当然なのですけれども、EUには「人の移動の自由」を保障するという基本原則があり、特別な理由がない限り拒否できません。それならば、EUそのものから離脱すればいい、というのが離脱派の言い分です。
一方、離脱すると、イギリス経済が大打撃を受けるから残るべきだ、というのが残留派の言い分です。
ロンドンはシティ(正式名称:シティ・オブ・ロンドン・コーポレーション)という、金融の中心地を抱えていることから、世界各国の金融機関がこぞって拠点を置いています。企業がEU加盟国の何処かの国に拠点を置くと、同じEU加盟国内であれば、許認可を求められず、自由にビジネスを展開できる「パスポート制」という制度があります。
ですから、もしイギリスがEUを離脱すると、この「パスポート」が剥奪されることになりますから、各国の企業は、イギリスから他のEU加盟国に拠点を移すだろうと言われています。
EU残留派は、もし離脱しようものなら95万人の失業者が生まれると試算しています。
果たして、イギリス国民は如何なる判断を下すのか。其の先にあるのは天国なのか地獄なのか。
この記事へのコメント
ス内パー
で、即座にスコットランドが残留表明を口実に独立申請。G7挟んで一月後にはスペインに飛び火予定ですか。
まだ僅差と言い張りキャメロンが投票無視して残留表明する目もあるので流動的ですが仮に順調にイギリスがEU離脱したならEU恐慌から(仏独主導で)中国向け投資の引き上げ、中国恐慌から戦争の可能性が出てくるわけでその流れを嫌がって『死体を壁に釘つけして生きているように見せかける』まねし続けてきた欧にとっては悪夢でしょうねぇ。
日本?日銀砲の面子が大体揃ってて安部総理がいる時点で最悪は回避するでしょ。さすがに無傷は無理ですが。