参院選における打倒と妥当

 
今日はこの話題を極々簡単に……

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6月22日に公示された参院選。選挙戦がスタートしました。こちらに各党の街頭演説の抜粋がありますけれども、行政改革、経済再生を訴える与党と、憲法改正は許さないとする民進・共産・社民、そしてその他野党、というような構図に見えます。

特に、民進・共産・社民の憲法改正反対の論陣は、今の情勢からすれば相当ズレているように見えてしまいます。自民党ベテラン議員は「世の中の人は改憲に興味はない。中国が南シナ海を埋め立て、北朝鮮がミサイルを撃っている時に『安保法廃止、改憲阻止』と訴えても『何を言ってるの?』とあきれられる……もっと生活密着の論戦をすべきなのに、民進党は戦略を間違った」と述べたそうですけれども、その通りだと思います。

南シナ海を巡る中国の態度は、話し合いには応じない、ですからね。一足跳びに憲法改正までは出来なくとも、防衛費増額は妥当な判断だと思います。

けれども、共産党は、それすら気に入らないようです。



26日のNHKの日曜討論で共産党の藤野保史政策委員長は、防衛費が初めて5兆円を超えた平成28年度予算について「人を殺すための予算でなく、人を支えて育てる予算を優先させていくべきだ」と発言しました。当然与党は勿論のこと、他の野党からも「言い過ぎだ。日本を守るためだ」とか「政治家の発言としてまずい」等と取り消しや訂正を求められたのですけれども、番組中の訂正、取り消しはありませんでした。まぁ、これが共産党の正体なのだ、といえばそれまでなのですけれども、防衛費の増額イコール人殺しというのは、流石に飛躍し過ぎています。そのロジックでいくならば、日本を遥かに上回るペースで軍事費を伸ばしている中国に対してもっと激しく指摘しなければなりません。

当然、この発言に与党は強く反発。安倍総理は同日午後に行われた長野県茅野市での立会演説で「とんでもない侮辱ではないか」と強く非難し、共産党の志位委員長らが、自衛隊を憲法違反とし、将来的な解消を主張していることについて「こんなことが通るわけはない。あまりにも無責任、失礼な発言だ。この共産党と民進党は、まさに一体となってこの選挙区でも戦いを進めている」と批判しています。

日曜午前の放送内容が、即座に総理に伝わり、午後には演説に反映される。それだけアンテナを張っているということなのでしょうけれども、やはり拙いと思ったのか、注意を受けたのか、夕方には「この発言は、安保法制=戦争法と一体に海外派兵用の武器・装備が拡大していることを念頭においたものでしたが、テレビでの発言そのものはそうした限定をつけずに述べており、不適切であり、取り消します」と自身のフェイスブックで取り消しています。ただ、個人のフェイスブックでの発言とNHKの日曜討論とでは、視聴者数が全然違いますからね。この藤野氏および共産党のイメージには傷がついたことは間違いありません。

実際、藤野氏のフェイスブックでの取り消し発言についているコメントを見ても、ボロクソに叩かれています。まぁそうでしょうね。

今回の参院選では、野党は前回、前々回と候補を乱立させて自民を圧勝させた、との苦い経験から形振り構わない野党共闘に打って出ました。けれども、共闘できるところが安倍打倒しかないのであれば、憲法改正かアベノミクスを攻撃するしかありませんからね。この時点で打てる手が限定されてしまっている。既に戦略的に失敗をしているような気がしないでもありません。

序盤の選挙情勢については、毎日新聞が調査結果を記事にしていますけれども、それによると31ある一人区で野党系が纏まることで4議席を獲得できる見込みであったところが、野党優勢が3選挙区、接戦が3選挙区と奮いません。

民進党の幹部は「この通りなら、共闘がマイナスになった可能性がある……地方には共産党への拒否感があるかもしれない」と漏らしたそうですけれども、現時点では、安倍打倒に目が眩んだように見えます。

其処へきての、先の共産党藤野氏の「人を殺すための予算」発言ですからね。足を引っ張られている可能性すらあります。

世間は安倍政権を積極的に評価はしないまでも、他に替われる人がいないが故の"消極的支持"がそれなりにあるように思います。つまり、世間は「安倍打倒」ではなく「安倍妥当」なのですね。野党は"消極的支持"の人々の目を向かせるだけの"妥当"な政策提案ができなければ、参院結果もやはり"妥当"なところに落ち着くことになると思いますね。

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