今日はこの話題を極々簡単に……

政策シンクタンク「東京財団」が財政の将来像を推計する統計プログラムをつくり、5月末からネットで公開しています。
これは、財政や社会保障の専門家チームが作成した「財政推計モデル」というものですけれども、現行の消費税率8%が続くと、2050年には債務残高は6700兆円を超え、名目GDPの4倍になるとなっています。これを2017年に10%への引き上げ(これが既にデフォルト設定で組み込まれている)にして、2025年に25%に引き上げると、GDP比が縮むとなっています。
筆者もちょっと見てみましたけれども、気になったのは、税率をどう弄ろうとも(一応消費税率マイナスの設定もある)GDPが変化しない点です。
日銀が今年4月に発表した「展望リポート(経済・物価情勢の展望)」で、消費税引き上げの実質GDPへの影響について、2013年度+0.8%、2014年度-1.3%、2015年度±0%となっています。
ところが、このソフトではそうしたことが一切考慮されていないように見えます。これについては、嘉悦大学教授の高橋洋一氏が「ほんとに糞ゲー。消費税率50%にしても経済成長が同じで、財政再建できる。バカを通り越して(笑)」とツイッターでこき下ろしています。
同じことは、少し前に話題となった財務省作成の財政再建ゲームもそうですね。
こちらは、「財務大臣になって財政改革をし、2020年までに日本を黒字化するゲーム」なのですけれども、こちらは各種予算を増減させるだけで、こちらも経済の変動が考慮されていません。先に取り上げた嘉悦大の高橋洋一教授がこちらのゲームについても、「こうしたゲームは10年ほど前から財務省のサイトにあるが、いずれも単純に歳入と歳出の足し算や引き算をしているだけのものだ。現実との違いは、歳出カットや増税をしても、経済状況が変わらないという前提だ。つまり、財務省のゲームは、マクロ経済、つまり経済の拡大・縮小の動きに連動させず、財政の中で足し算引き算をしている。しかし、実際には財政とマクロ経済とは相互に関係しながら動いている」と酷評しています。
こちらの記事で、このゲームをやってみたリポートがあるのですけれども、超増税と社会保障予算をカットすることで黒字化になる、というどんな悪代官ですか、という代物です。
はっきりいえば、増税による影響を全く無視している段階で、シミュレーションの意味を失っています。これならまだ、「シムシティ」とか「A列車で行こう」で遊んでいた方がマシではないかと思える程です。
もし、「シムシティ」や「A列車で行こう」で、増税とか運賃の値上げをしても、人口も乗降客も減ることもなければ、不満も持たないという設定だったとしたら、散々に叩かれるのではないかと思いますね。そんな架空な設定にはしない筈です。
民間の架空シミュレーションゲームよりも有り得ない設定のゲームを出して見せる財務省や
筆者としては、この種のゲームは「三國志」や「信長の野望」で有名な光栄あたりに作らせたほうが、よっぽど、リアルで現実に忠実なシミュレーションゲームを作ってみせると思いますね。
この記事へのコメント
ジェロ
日比野
御指摘ありがとうございました。訂正いたしました。m(__)m