安倍政権での憲法改正の優先順位は高くない

 
昨日の続きを極々簡単に……

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7月11日早朝、参院選の改選121議席が確定しました。自民党は56議席、公明党は14議席、おおさか維新の会は7議席。この3党の獲得議席は計77で、改憲に前向きな非改選議員88人と合わせ、改憲勢力は165議席と憲法改正案の発議に必要な3分の2を確保しました。

対する野党は民進党32、共産党6、社民党1、生活の党1、無所属5。日本のこころを大切にする党と新党改革、幸福実現党は獲得議席0でした。

今回の選挙を通じての印象ですけれども、増々二極化というか保守と反保守という色分けが政党だけでなく、マスコミにもくっきりと分かれたように思います。

朝日、毎日、東京新聞辺りの「あっち系」の新聞は、3分の2を取っても、改憲を信認された訳ではないと往生際の悪い所を見せつけています。確かに安倍総理を始め与党は選挙戦で改憲については殆ど触れませんでした。潔くないのは事実です。けれども、それを補うかのように野党が与党の改憲を阻止するために3分の2を取らせないようにしようと大ネガティブ・キャンペーンを張ってくれましたからね。民進党などは「まず、2/3をとらせないこと」とのキャッチコピーを大書したポスターを作ったくらいです。

そこまでして宣伝したにも関わらず、結果は改憲勢力で3分の2を超えた訳ですから、間接的にではありますけれども、国民は、改憲発議までは了解したとみていいと思います。

それにしても、あっち系の方々はどうして、自分の意見以外は全否定して、自分の意見を押し付けてくるのでしょうね。自分の思い通りにならないと、相手が悪いと攻撃する。それが一番嫌われる理由であることをいい加減に理解して頂きたいものです。

さて、では、その憲法改正についてですけれども、今回の参院選で改憲勢力が勝ったとはいえ、ようやく改正の発議ができる条件が整ったに過ぎません。すべてはこれからです。

安倍総理は11日、党本部で記者会見をしています。マスコミ各社はこの会見で「憲法改正は自民党草案をベースにする」という見出しで大々的に報じていますけれども、安倍総理自身の会見での冒頭発言は、経済、成長戦略、地方活性化、被災地復興、一億総活躍、外交・テロとの闘い、であって、憲法改正については一言も発言していないのですね。

各社が見出しで躍らせている憲法改正についての安倍総理の発言は記者の質問に対する答えなんですね。要するに、安倍総理が考えている参院選後に取り掛かる課題において憲法改正の優先順位はそれほど高くないということです。

安倍総理は、憲法改正について、記者の質問に次の様に答えています。
「そしてまた、私の任期と憲法改正との関係でございますが、自民党は立党60年でございます。常にわれわれは憲法改正を掲げ続けてきたわけであります。このたいまつは、私の前任者の谷垣(禎一)幹事長から私が受け継いでいます。谷垣さんが総裁のときに、改正草案ができあがったわけでございます。それを実現していくというのは総裁としての責務ではありますが、しかし同時に憲法改正は衆参それぞれ3分の2の発議が必要なので、そう簡単なことではないと思います。その中において、しっかりと、しかし議論が深まっていくことを期待したいと思います。まあ、私の任期のことでありますが、まずは与えられた任期を全力で務めていくことに力を入れていきたいと思います」
このように、発議であってもそう簡単なことではない、と自ら認めているわけです。そして仮に発議にまで漕ぎ着けたとしても、国民投票にかけて過半数を取らなくてはいけない。つまり、発議の案で国民の過半数をウンと言わせないといけないのです。

これは簡単ではないと思います。なぜなら、これまで解釈憲法といった、言葉は悪いですけれども「誤魔化し」でなんとかしてきたからです。これまでなんとかしてこれたものを更に変える必要がある、ということを如何に国民に説明して納得させるのか。苦労して安保法案を通しましたけれども、安保法案では足りないのだ、ということを説明しなければならないのですね。

ということで具体的に改正となると相当悶着すると思います。

安倍総理は自民党草案をベースにと言っていますけれども、其処まで持っていけなくて、9条だけの改正だとか、或いは憲法の改正手続について定めた96条の改正だけという具合にトーンダウンする可能性だってあります。現段階では改正まで持っていけるのかどうかはまだ何ともいえないと思います。相当な政治力とパワーが必要になると思いますね。

また、安倍政権が憲法改正に血道を上げて、経済を疎かにすると、途端に支持率に響いてくるであろうことは容易に予想できます。

まだ直ぐには改正に着手できる状況にはなってない。安倍総理もそれが分かってるからこそ、先の記者会見でも憲法改正には触れなかったのではないかと思いますね。

この記事へのコメント

  • おじさん

    改正と言っても逐条的にやるのが現実的だと思います。個人的にはあのふざけた前文をまず改めるとともにそのあとで自衛隊の位置づけをどうするかということをしっかり議論して欲しいと思います。
    非常事態条項も必要でしょう。
    自民党草案のように家族のあり方や男女のあり方まで手を付けては今は到底理解を得られないと思います。
    2016年07月12日 02:40
  • ポール

    民進党は「2/3を取らせない」とか言ってましたが、
    ふたを開けてみたら、

    改選前 49議席 → 改選後 32議席

    と、自分のところの議席が、2/3を割り込んでしまいました、とさ(笑)
    2016年07月12日 09:54
  • sdi

    現実として当の安倍総理自身が第一次安倍政権とひきかえに成立させた国民投票法は条項毎に投票することになっています。手間が掛かりますが仕方ありません。ですから、改憲するといっても極めて限られた条項に対する改正しかできないでしょう。「あの(傍点付き斜字体太字)」改憲草案みたいな大改造をやるような日程の余裕が今の日本の政治情勢に赦されるとは、とうてい思えません。もし、本当に「あの(傍点付き斜字体太字)」改憲草案をベースにやるというのなら国民投票法の大改造が先に必要でしょう。
    2016年07月12日 23:39
  • sdi

    >安倍政権での憲法改正の優先順位は高くない
    安倍政権としてはタイトルのとおりでしょう。でも安倍晋三個人にとってはどうでしょう?
    間違いなく「改憲」が彼の念願であり最優先事項でしょう。そしてその素志を実現する準備の第一歩を実施したところで、足をすくわれ政権の座を追われたのです。
    今、彼個人の念願を実現するチャンスが回ってきたように見えているのではないでしょうか。
    私は余計なことを考えず、国民が与党に託したマクロ経済の再建と生活の安定に努めて戴きたいと思います。
    2016年07月12日 23:48

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