九段線内の資源について中国に権限はない
今日はこの話題を極々極簡単に……
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7月12日、オランダのハーグ国際仲裁裁判所は、フィリピンが申し立てていた南シナ海を巡る裁判で、中国の管轄権を全面却下する判断を下しました。
この中で裁判所は、南シナ海に中国が独自に設定した「九段線」と呼ばれる境界線の内側に「主権」や「管轄権」、それに「歴史的権利」があると主張していることについて、「中国が、この海域や資源に対して歴史的に排他的な支配をしてきたという証拠はない。……九段線の内側にある資源に対して中国が歴史的な権利を主張する法的な根拠はない」とした上で、「中国が最近行った大規模な埋め立てや人工島の造成は、仲裁手続き中に紛争を悪化させたり、拡大させたりしないという義務に反する」としました。
フィリピンが国際仲裁裁判所に提訴したのは2013年です。中国が南シナ海に人工島を作り始めたのは2015年頃からですから、国際仲裁裁判所は提訴後の事象についても判断を下したことになります。通常、仲裁裁判所は、手続きが始まった後の事象については判断できない建前があることを考えると異例の対応といっていいでしょう。
今回の裁判について、仲裁裁判所は、2013年6月21日から、ガーナ人のトーマス・A・メンサ判事長を中心に、フランス人のジャンピエール・コット判事、ポーランド人のスタニスラフ・ポウラック判事、オランダ人のアルフレッド・H・A・スーンズ判事、ドイツ人のリュディガー・ウォルフルム判事の計5人の判事によって、2年にわたって審理してきたとしています。
何でも、フィリピンが提訴した段階で、仲裁裁判所はその内容を添えて、直ぐに公式文書で中国に通知しています。ところが中国は、その一か月後に裁判自体を拒絶し、渡された公式文書を、常設仲裁裁判所に送り返してきました。そして更に、中国は裁判の審議に顔を出さないまま2014年12月7日に、『フィリピンが南シナ海の件で常設仲裁裁判所に提訴したことに対する中国政府の立場』なる出版物を上梓しました。
これらの事を仲裁裁判所自身が公表しています。これが公式に公開されることからみても、仲裁裁判所がどれだけ中国に大して憤っているか分かろうというものです。
実際、今回の判決に関するプレスリリースの最後にも「通常の判定は英語とフランス語で発表するが、今回の判定は中国語でも出す」と記されているそうです。その意味は言うまでもないでしょう。
今回の判決についてベトナムを含めた各国(韓国以外)は揃って歓迎の意思を示していますけれども、まぁ当然の反応でしょうね。
一方、この判決に対して中国は「南シナ海の領土主権と海洋権益に関する声明」なるものを出し「中国人は南シナ海で2000年以上の活動の歴史がある。中国は南シナ海の島々と周辺海域を最も早く発見して命名し、開発していて、最も早く、持続的、平和的、かつ有効に主権と管轄権を行使し南シナ海の領土の主権と関連する権益を確立した」とし、南シナ海の島々に主権を有する、としています。
また、国営の中国中央テレビは、12日に習近平国家主席が、EUのトゥスク大統領らと会談した際、「南シナ海の島々は、古来より中国の領土だ。南シナ海における中国の領土主権と海洋権益は、いかなる状況下でも仲裁の判断の影響は受けないし、判断を基にしたいかなる主張や行動にも中国は受け入れない」と述べたと伝え、李克強首相も「中国政府は仲裁裁判の判断を受け入れない。……中国は、南シナ海の地域の平和や安定を維持することに最も関心を払っているし、努力している」とEUのトゥスク大統領らに伝えたようです。
更に、王毅外相も「争いや不公平に満ちた仲裁裁判は、国際法や国際法に基づく秩序を代表しえない。……この茶番はもう終わりで、正しい軌道に戻るべきときが来た。中国は、フィリピン政府が中国とともに対立を適切にコントロールし、両国関係を速やかに健全な発展への軌道に戻るよう推進していくと楽観している」と仲裁裁判所の判決を完全無視する意向を発表しています。
真っ向対立の様相を示してきました。
ニューヨーク・タイムズは「今回の裁判は国際的な影響力を強める中国にとって重要な岐路になるとみられていた。周辺の国々は、中国との交渉のしかたについてモデルが示されるだろうと期待していた。裁判所は中国の南シナ海での活動を非難する決断を下した。インドネシアなどの国々は、この判断が中国の主張に疑問を投げかけ、自国の経済水域の保護につながることを望んでいる」と伝えています。
「中国との交渉のしかたについてのモデル」という意味では、確かに一つの方法ではあると思いますけれども、これが最終解決の方法であるとは言い切れない。当の中国が判決を受け入れていないからです。それをどう最終解決までもっていくのか。
これから先が本当の戦いになると思いますね。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
オバマ大統領であるから
うやむやのまま支那が居座るに一元
だろうか.
次の候補のクリントンは
米国の利益よりは利権保全を優先する.
第二時大戦後の冷戦はそれで儲けた
産業複合体があったが,
今回は支那と対立して儲かる所はない.