本性が世界に知られ始めた中国

 
昨日の続きを極々簡単に……

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南シナ海問題について仲裁裁判所が下した判決を無視する中国に対して各国から厳しい声が上がっています。

イギリスのフィナンシャル・タイムズは「国際ルールを嘲弄する無法者」と批判。オーストラリアのラジオ番組は「国際的な罪として、評判を大きく落とす」と論評しています。

また、アメリカのニューヨーク・タイムズは社説で、中国が南シナ海での人工島建設の強化や、防空識別圏設定などの挑発的な対抗措置を取れば「愚か」で、軍事衝突の危険性が高まると指摘。ウォールストリート・ジャーナルも社説で「アメリカが唯一強制力を持つ存在だ」と強調し、外交努力のほか、中国が領有権を主張している島々の周辺に艦船を派遣する「航行の自由」作戦の範囲や頻度の強化を提言しています。

これに対し、中国は政府機関、メディアが一体となって、仲裁裁判所の判断を批判する大々的なキャンペーンを始めました。

12日、国営中央テレビの定時ニュースは冒頭から終了まで南シナ海問題一色。習近平国家主席が「南シナ海の島々は昔から中国の領土」と語る姿を放映した後に、裁判所の判断を「受け入れない」とする李克強首相の発言を伝えました。

また、同日、対外宣伝を担う国務院新聞弁公室が、中国は南シナ海に主権と領土を保有すると強調する白書を発表。翌13日には中国各紙は仲裁判断について1面トップで報道、「南シナ海は昔から中国領」、「判断を受け入れない」などと報じています。

英字紙チャイナ・デーリーは1面で「世界70カ国が中国の立場を支持、フィリピン支持は米国など数カ国だけ」などと世界地図付き記事を掲載しています。

更にそれだけでは飽き足らず、仲裁裁判所の判断は日本のせいだとまで言い出す始末です。

12日、中国外務省はの陸慷報道官は、フィリピンが申し立てた南シナ海を巡る仲裁裁判の仲裁人の任命は、当時、国際海洋法裁判所の所長だった日本の柳井俊二氏が「一手に取りしきった」とし、「柳井氏は、安倍総理大臣の安保法制に関する懇談会の座長を務め、集団的自衛権の行使を可能にすることに協力した人物だ。よって仲裁裁判は当初から政治化しており、出された判断は不法であり無効だ」などとコメントしています。

日本を一方的に悪者にして批判の矛先を躱すやり方はいつものことですけれども、逆にいえば、民衆の怒りの矛先が習政権に向かうのを警戒しているともいえます。

実際、北京市政府は11日に関連部門に「民衆の過激な行為を監視し、情報収集や報告をこまめに行い突発性の事件が起きた際には秩序の維持と混乱の抑制を第一に考え動くよう」支持を出しています。

これについて、香港のメディアでは、「4年前に日本が尖閣を国有化した際、中国本土では数多くの反日デモが発生した。中国に不利な判決を受け民衆が過激な行動に出ることを北京市は恐れ、混乱の再発防止のための措置と考えられる」と評していますけれども、それだけ暴動の発生の可能性があると思っているということですね。

中国のように、共産党が絶対正義であり、それ以外の考えは認めない、という社会を作ってしまうと、それが通用している内は良くても、逆に否定されてしまうと、途端に脆くなる弱点を抱えています。この時、中国が他の全ての国を黙らせてしまうくらいの軍事力を持っていたら、力でそのままゴリ押しすることが予想されますけれども、そうでない場合は、その不満が自国政府に向かってしまうという訳です。

現在中国は、他の全ての国を黙らせる軍事力こそありませんけれども、他の国を籠絡するくらいの経済力は持っています。ですから、この経済、札束を使って中国のマイルールを他の国に押し付けて侵略を掛けている訳です。

ただ、その札束外交ですけれども、突き詰めて単純化してみれば、取引であり、契約なのですね。つまり法の順守と秩序を基本とした信頼が元になければなりません。

経済でいうと、近年、中国は世界各国で破格の条件を提示し次々と高速鉄道計画の受注を決めていますけれども、6月8日には、ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ高速鉄道の計画で、アメリカのエクスプレスウエスト社が中国鉄道総公司との合弁解消を発表しています。また、中南米でも中国の高速鉄道の建設計画が次々と失敗に終わっています。

要するに、契約の実行。法の順守の部分に疑念を持たれているということですね。

ところが今回のことは、その「中国は法を守らない無法者」であることを決定的に世界に知らしめました。いくら商談で口の良いことを言ったとしても、法を守らないと分かっている相手とは契約を結ぶのはリスク以外の何物でもありません。

これは、後々に響いてくる筈です。結局は中国共産党の絶対正義という国内秩序と、現在の世界秩序が衝突しているということであり、中国が今の世界秩序を受け入れず、自身の世界秩序を押し付けようとするのなら、最終的には軍事衝突しか解が無くなってしまいます。

当然、ASEANや日本はその事も視野に入れて動き出そうとしていますけれども、中国の侵略を押し止めるだけの物理的力までは持っていません。

従って、ウォールストリート・ジャーナルが指摘するように「唯一強制力を持つ存在」であるアメリカがどう判断して動くのか。これが最後の最後に結論を出すことになると思いますね。

この記事へのコメント

  • sdi

    浮かれてていいんですかね?
    今回の判決についての中国の態度は予想通りではありますが、私はむしろ予想通りであることに安心しました。ここで、中国がいきなり物分りの良い素直な隣人に豹変して、南シナ海で一歩引いて東シナ海で攻勢にでてくるようになったら厄介なことになるでしょう。
    南沙「諸島」に関する判決が判例となり他の案件についても、今回の判決を基準にして判断が下されるようになるということになります。中国が「沖ノ鳥島」について今回の判例の適用を言い立てたりしたら大丈夫ですかね?
    2016年07月14日 01:11
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    支那の侵略を押し止めるだけの物理力がない?

    そんなことはない.
    ベトナム・日本・台湾の三面攻撃を行なえば
    支那には核を使う以外の道はなくなる.

    核を使えば?
    米国は始めて自分以外に人道的罪人を得たことになる.
    しかも, 米国は「建前上は」ファシズムを食い止めた
    と言えるが, 支那は永遠の罪人だ.

    つまり, どこまで身を切って勝つかの話.

    支那には勝てないと言うのは
    現在の経済的利権を失いたくない
    もの達の願望である.

    国の独立とはその様なものではないのではないか.
    2016年07月14日 12:42
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    沖の鳥島.
    歴史的にも地勢学的にも他国が権利を主張できない.
    ただ, サイズが小さい.
    それ以外は国際法上問題無い.

    疑心暗鬼になるのは既に相手に負けている.
    2016年07月14日 12:47
  • にゃ~

    中国が南シナ海で大きく譲歩する事は絶対あり得ないと思います
    中国の夢であり核心的利益とまで言ってきた南シナ海を諦めるときは共産党の支配が終わる時でしょう

    ところで、軍事衝突や中国国内でのデモの心配もありますが、私は習近平の失脚の可能性があるのではないかと思います
    彼のとってきた強行路線が、これまでも中国国内で批判をされてきたようですし、政敵にとってみれば正にチャンス到来でしょう
    2016年07月15日 00:57

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