更に昨日の続きを極々簡単に……

7月15日、安倍総理はモンゴルの首都ウランバートルで、中国の李克強首相と約30分会談し、南シナ海を巡る仲裁裁判の判決を踏まえ、法の支配に基づいて、紛争を平和的に解決するよう求めました。
それに対し、李首相は「中国の立場は国際法に合致している。日本が介入しないよう求める」と日本を批判。物別れに終わったようです。
一昨日のエントリーでも触れましたけれども、中国政府は今回の判決には日本が関与しているというプロパガンダを開始しています。中国政府の声明では「第二次世界対戦の終結後、中国は日本が侵略戦争期間に不法に占領した中国の南シナ海の島々を取り戻した」と述べていますし、中国外務省の陸慷報道官は15日の定例記者会見で、「仲裁裁判の判断に対する日本側の反応が、南シナ海の周辺国以上にかなり高ぶっているが、その方向は間違っている。会談の機会があれば、安倍総理大臣に対してどこが間違っているのか指摘することができる」と日本政府の言動に対する強い不満のコメントを残しています。
とはいえ、今回の判決に対する中国の対応が世界の眉をひそませるには十分すぎるのも確かです。
今後の中国の動きについて、東京財団研究員・政策プロデューサーの小原凡司氏は、「フィリピンとの和解」、「中国の主張を支持する国を増やす外交努力」、「既成事実の積み上げ」の3つをやってくるだろうと指摘しています。
最初の「フィリピンとの和解」ですけれども、これはフィリピンへの経済援助などをチラつかせて籠絡していくということですね。いつもの遣り口です。この件について、14日、フィリピンのドゥテルテ大統領は首都マニラでの会合で、「戦争は選択肢にはない。平和的な話し合いしかない」として会場にいたラモス元大統領に「非公式協議を始めるために、中国に行ってもらいたい」と求めたそうです。尤も88歳のラモス元大統領は会合後、記者団に対し「私はもう高齢だ。世界平和や持続的な経済成長に向けた、より大きな仕事がある」と述べていますけれども、誰かを立てての話し合いはあるのではないかと思われます。
二つ目の「中国の主張を支持する国を増やす外交努力」ですけれども、これは既に始めています。南シナ海と関係の薄い国ばかりですけれども、中国は60ヶ国が支持していると発表しています。
また、仲裁裁判所の裁定を受けてASEANが発表を検討していた共同声明も、中国の工作により断念に追い込まれる見通しです。
最後の「既成事実の積み上げ」は、これはもうそのまんまです。中国を非難する国際世論が高まり、中国包囲網が狭まる前に更なる人工島の造成や軍事拠点化を進めると小原氏は指摘しています。
また、小原氏は中国は日本はアジアの国であるにもかかわらず欧米諸国のお先棒を担ぐ、と不満に思っており、仲裁裁判所の判決を下した裁判官が柳井俊二氏が任命したことを恨みに思っており、判決で「やられた」部分を、「沖ノ鳥島も岩にすぎない」と主張することでやり返すことは十分あり得ると述べています。
やはり、警戒は必要なのかもしれません。
この記事へのコメント
めるもちゃん
しかしそれゆえに安易な妥協はしにくくなったといえます。
ドゥテルテ大統領にとってそこは計算外だったのではないでしょうか。
沖ノ鳥島についてはむしろ中国はカードとして使いにくくなったでしょう。
島か岩か決めるのは国際法に則って裁判所が決めることであって
結局提訴しなければ答えは誰にも分からないのです。
中国は国際司法裁判の結果を否定したのですから、提訴できません。
ちび・むぎ・みみ・はな
近衛文麿が共産主義の謀略に捕らわれて以来,
日本は本当の敵をきちんと認識して来なかった.
日本は地を流す覚悟を持って当たらない限り
国を危うくすることになろう.