今日はこの話題を極々簡単に……


北朝鮮の恐怖政治が漏れ聞こえてきます。
8月31日、韓国統一省報道官は記者会見で、北朝鮮の金勇進副首相が処刑されたと明らかにしました。
何でも、韓国政府関係者によると、6月に北朝鮮の最高人民会議が開かれた際、「座っている姿勢が悪い」と指摘されたことが発端となり、「反革命分子」として7月に銃殺刑が執行されたそうです。報道官は、「韓国政府は、複数のルートで情報を確認した」と述べていますから、情報源は一つではないのでしょう。
また、農業相も農業政策の不振を理由に「反革命」罪を被せられて処刑されたとしています。
これについて、世界北朝鮮研究センター所長の安燦一氏は「権力内部のエリート勢力も引き締める という信号弾の性格の見せしめ式処刑」とコメントしています。
先日「足下が揺らぐ金正恩体制」のエントリーで、最近、北朝鮮外交官の亡命が、少なからず発生していると述べましたけれども、彼らの亡命と、処刑の時期が近いことから、彼ら北朝鮮を支えるエリートの体制離反や離脱行為は許さないという警告の意味から見せしめ的に処刑したのではないかというのですね。
まぁ、本当にそうなのかもしれませんけれども、そんな事で見せしめにされる方は堪ったものではありません。国のトップエリートが逃げ出すということは、はっきり言えば、その国の国家運営に失敗しているということです。
これが民主国家であれば、選挙による権力者の交代によって刷新が図られる訳ですけれども、独裁国家ではそうではない。第一権力者が間違ったとなれば、その権力者が打倒されてしまいます。革命によって建国した国は、革命を否定し去ることはできません。
故に、独裁者は権力を維持するためには、何等かの手段によってその求心力を維持する必要があります。
ではその方法とは何か、というと大きく二つあります。
一つは「心を掴む」という方法。もう一つは「心を縛る」という方法です。
前者は要するに、独裁者を心酔させ崇拝させるということです。普通は崇拝する相手に刃など向ける訳がありませんからね。そういうやり方で求心力を得るというのがあります。例えば、教育で"将軍様は偉いのだ。素晴らしいのだ"と小さい頃から刷り込んでいく方法があります。これは実際にやっていることですね。
或いは、敵国を脅して震え上がらせたり、戦を仕掛けて勝利して見せるなど、実績を積むことで崇拝させるという方法もあります。
それに対して、後者は、心を縛って、自由に考えることをさせないようにする、というやり方です。例えば思想教育を行うとか、逆らったら殺すと脅して余計な事を考えなくさせるというものですね。
今回の処刑はこちらの後者に当たるでしょう。
要するに、金正恩体制の求心力を保つために形振り構っていられない、という所にまで追い詰められているかもしれません。
まぁ、時の政権の求心力など、一度の経済的困窮でガタ落ちになることだって珍しくありません。その意味では、今後、前者の「他国への脅しとしての」ミサイル発射があり得ると想定して動くべきだと思いますね。
8月8日、稲田防衛相は自衛隊によるミサイル迎撃を可能とする破壊措置命令を出していますけれども、正解だと思います。今後北朝鮮の挑発は増えこそすれ、減ることはないのではないかと思いますね。
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