今日はこの話題です。


9月4日、香港で4年に1度の立法会選挙が行われました。
立法会は植民地時代の立法局を前身とするもので、1843年に3名の議員が任命され、その後段階的に定数が増やされてきました。
現在の定数は70名。その内訳は、香港5地区―香港島/定員6・九龍東/定員5・九龍西/定員6・新界東/定員9・新界西/定員9の35議席と、区議会議員へ割り振られた5議席。これら合計40議席が比例代表制で選ばれます。残りの30議席は、28の職能団体から選出されます。
今回はこの定数70に対し289人が立候補しました。
従来の立法会選挙は北京に思想的に近い者や財界人などが主力となる親政府派(建制派)と、反政府的な民主派の二大陣営が対立し、普通選挙枠では民主派が6割弱の票を集めるのが通例でした。
ところが、近年その構図に変化が起こり始めています。
2014年の「雨傘運動」の後、それに参加した若者達が次々と政党および政治団体を結成しました。「雨傘運動」に参加した若者が結成した「青年新政」は、昨秋の区議会議員選挙で当選者を出し、旺角での警官との衝突で多数の逮捕者を出した「本土民主前線」は、2月28日の立法会補欠選挙で善戦。また、「雨傘運動」のリーダーとして世界に名を知られた大学生・黄之鋒氏は、4月10日に新団体「香港衆志」を設立しています。
選挙前には、これら若者中心の政党からの候補者が反政府的な民主派と票を喰いあって、結果的に大陸派を利するのではないかという見方もありました。
ところが、過去最高の58.3%となった選挙の結果は、地区選挙定数35の内、親政府派が16議席、民主派が19議席を獲得。区議会議員から立法会議員を選出する選挙では、親政府派が2議席、民主派が3議席獲得しました。
職能団体を含めた全体では、親政府派が前回の43議席から40議席へと3議席減らし、民主派が前回の27議席から29議席と2議席増やしました。残りの1議席は無所属です。
報道では親政府派が過半数を獲得したといっていますけれども、これは職能団体の多数が親政府派であるからで、普通選挙では民主派が多数になるのですね。
そして、この職能団体から選出される議員は無投票または驚くほど少ない票数で当選しています。30の議席の内、無投票当選が12名、他にも98票、126票で当選している候補者がいます。
これは、地区選挙の当選得票数が万単位であることに比べると異常に少ないと言っていいと思います。逆にいえば、賄賂等による議席獲得工作が簡単にできるということですね。
とはいえ、今回の選挙で民主派が、三分の一以上の議席を獲得した意味は軽くありません。
立法会で法案可決に必要な票数は、法案の内容によって異なります。基本法改正、行政長官罷免、立法会議員罷免などの重大法案だと全体の三分の二。議員法案では、選挙区別と職能団体別の2グループとも二分の一。そして、政府法案だと全体の二分の一の賛成票が必要になります。
今回民主派が三分の一以上の議席を獲得したということは、重大法案の否決は可能になったということであり、香港基本法の改正など北京政府が工作して、共産党に都合のよいように作り変えてしまうことには歯止めが掛かっているということです。
それでも、議員法案、政府法案レベルでは、親政府派の思惑通りに法案が通されてしまう事実には変わりありません。これを打破するには職能団体からの30票を切り崩すか、地区選挙において35議席全部民主派が取ってしまって、全体でも過半数を上回るところまでいかなくてはなりません。
香港に雨傘通り過ぎた後、若者世代という"筍"が目を出し始めています。香港の行く末はこの筍が握っているのかもしれませんね。
この記事へのコメント
カリフォルニアから日本を想う
一方、日本共産党の若者グループ "志位るず”は、(比較するのもおこがましいが)朝日や毎日グループのサヨクメディアに煩雑に取り上げられ話題作りしてもらったにもかかわらず、みごと解散の運びとなり、めでたし、めでたし。
所詮、偏差値28集団じゃ、政治知識も能力もスカスカで、サヨク老人サポウターズの気味悪さも手伝って、一般人をだませず、選挙は連戦連敗。良きかな、良きかな。