サムスン携帯爆発炎上の衝撃

 
今日はこの話題です。

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9月15日、アメリカ消費者製品安全委員会(CPSC)は、アメリカ国内で販売された全ての「Galaxy Note 7」をリコールすることを発表しました。対象となる端末は9月15日までに販売された端末で、総数は130万台に及ぶとのことです。

これは、サムスンのスマホ「Galaxy Note 7」のバッテリーが爆発・発火事故を相次いで起こしている問題を重くみての処置です。リコール発表時点でサムソンが把握しているトラブル件数は92件で、この中には26件のやけど、そして55件の火災事故が含まれているのですけれども、ネットで出回っている動画をみると、濛々と煙が上がり、爆弾騒ぎかと思う程ですし、ジーブが炎上するに至っては言葉もありません。CPSCの処置は妥当だと思います。

爆発の原因は内臓のリチウムイオンバッテリーだと見られているのですけれども、バッテリーは「陽極(アノード)」と「陰極(カソード)」の正負2つの電極と、それらの電極が触れないように絶縁する「セパレータ-」、そして「電解質」によって構成されています。

充電の時、バッテリー内部ではリチウムイオンが陰極から陽極に移動して電荷を蓄え、電力を取り出す時、陽極から陰極にリチウムイオンが移動することで電流が発生します。この時、内部でイオン(電子)を移動させるための物質が電解質、2つの電極が直接触れて高エネルギーを放出する事態を防ぐために挿入されているのが、セパレーターなのですけれども、「Galaxy Note 7」の爆発は、このセパレーターに不具合があって、2つの電極が直接触れてしまい、一気に電流が発生したのではないかと考えられているようです。

CPSCはの「Galaxy Note 7」ユーザーに対し、「ただちに使用を中断して電源を切り、通信キャリアか小売店、サムソンに連絡を取り、無償でバッテリー対策済の新しい「Galaxy Note 7」と交換するか、端末代金の払い戻し、または代替機との交換を受ける」ように勧告していますけれども、その対策が満充電を止め、6割までしか充電しないというのでは、爆発を避けるためとはいえ、その場しのぎ感は否めません。

リチウムイオンバッテリーを安定させる上で鍵になるのは「温度の管理」と「過充電の防止」の二つです。

電解質は熱に敏感な特性があり、強い電流が流れたり、高温環境に晒された状態で電子が移動すると化学反応がおこり、ガスと熱が発生します。これが更なる化学反応を呼び、いわゆる熱暴走状態となると最悪、爆発発火に至ります。

また、過充電は、バッテリーに蓄えられる容量を超えるエネルギーを送り込むことで発生します。リチウムイオンバッテリーの場合、陽極に移動するリチウムイオンが多すぎた場合に発生するのですけれども、これも熱暴走を有無原因となります。

熱暴走のおおよそのプロセスは次のとおり。
①過充電や内部短絡による発熱で正極リチウムイオンと酸素が離脱する。
②リチウムイオンが過剰に離脱したことによって、電解液や正極材料の結晶構造の崩壊が始まる。
③結晶構造の崩壊により、熱暴走しやすい状態になる。
④熱暴走による加熱で正極が高温になり、酸素離脱現象が促進される。
⑤酸素離脱現象の促進により大量の酸素が電池内部に蓄積する。同時にその発熱が他の部位の発熱を引き起こし電池温度の上昇が続く。
⑥蓄積した酸素と異常な電池温度により発火・爆発する。
要するに、熱くさせないようにする、というのが対策だというわけです。アメリカ連邦航空局(FAA)は飛行機に乗る場合は電源をオフの状態にして、預け荷物には絶対に入れないように強く勧告していますし、既にいくつかの航空会社では問題のスマホの持ち込み禁止としているようです。

この問題の影響は大きく、サムスンの株価下落が止まらず、約190億ドルが失われたとの報道もあります。

更に、「Galaxy Note 7」以外の機種でも発火したという話もあるようで、完全に対策が為されるまでは、サムスン携帯は避けたほうがよさそうですね。

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この記事へのコメント

  • 白なまず

    【東大、爆発しない“水”によるリチウムイオン電池を実現可能に】
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1017300.html

    リチュウム電池は難しい技術で、コスト主義では爆弾製造と紙一重でしょう。日本の技術者は答えを見つける執念でもう一度電池開発のイニシアティブを取り戻して欲しい。夢の技術を安売り非安全な商品でダメにしないで欲しい。そして簡単に大事な技術を外国へ渡さないで欲しい。目先のはした金に目がくらんだ拝金主義者が小型核爆弾の技術をテロリストへ渡す世の中が続けばあちこちで戦争でしょう。
    2016年09月18日 08:33

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