君の名は「天宮1号」
今日はこの話題です。
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この程、中国政府は2011年に打ち上げた宇宙ステーション「天宮1号」が制御不能になったことを正式に発表しました。
元々この手の宇宙ステーションは、寿命の際には、ある程度モジュール毎に分解してから大気圏突入させ、海に落下させるという方法を取ります。実際、2001年に 旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」を廃棄処分とし計画的に南太平洋に落下させています。
同様に、「天宮1号」も海洋に落下させるか、大気圏中で燃え尽きさせることになっていたようなのですけれども、当然その為には、狙ったポイントで大気圏突入させなくてはなりませんから、宇宙ステーション本体に対する姿勢制御ができなくてはなりません。
ところが、その肝心の制御ができなくなったということは、いつ何処に落下するか分からないということです。
ハーバード大学で宇宙物理学者のジョナサン・マクダウェル教授は、 「それ(天宮1号)がいつ大気圏に突入するかは、数日前になっても予測できないだろう。6~7時間前になってやっと分かるのがいいところだ。……また、大気圏突入がいつか分からないということは、落下地点の予測もできない」と述べています。
中国は「来年の後半には天宮1号が地球に落下するだろう」としながらも、「我々の調査と計算によれば、天宮1号のほとんどの部分が、大気中で燃えて無くなるはずだ」と言っているようですけれども、かの国のコメントだけに、今一つ不安が残ります。
「天宮1号」は2011年9月29日に打ち上げられた実験装置室と物資保管室から構成された軌道上実験モジュールで、全長約10メートル、直径3.35メートル、重さ約8.5トンあります。
数年前、小惑星イトカワから砂を持ち帰った「はやぶさ」は大気圏突入してその最後を終えましたけれども、「はやぶさ」は0.5トン弱。それもきちんと制御された上での再突入でしたから計算通り燃え尽きました。
けれども、例えば「ミール」くらいの大型ステーションとなれば、話は別です。「ミール」は124トンもあり、燃え尽きさせることができないことから、ニュージーランド東方沖の予定された海域に、計算して落下させました。これもきちんと制御しての大気圏突入です。
では、「はやぶさ」の10倍以上、「ミール」の十分の一以下の「天宮1号」はどうなのかというと、先のマクダウェル教授によると、天宮1号のエンジンは大きく、大気圏で完全に燃え尽きることはないとコメントしています。やはり不安は不安ですね。しかも落下の6~7時間前にようやく分かるのでは、逃げることも儘なりません。
余談ですけれども、史上最大の宇宙建築物である国際宇宙ステーション(ISS)はあと5年で寿命を迎えます。ISSは重さ420トン。「ミール」の3倍以上の重さです。
落下を制御できるうちはまだなんとかなるかもしれませんけれども、それが出来なくなれば途端に運任せになってしまいます。これは隕石や彗星の落下と殆ど変りません。
「天宮1号」に限らず、宇宙ステーションの廃棄問題はこれからの大きな課題になってくるかもしれませんね。
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