批判、提案、世界観

 
今日はこの話題です。

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9月26日、民進党の蓮舫代表は今秋の臨時国会の召集に当たって開いた参院議員総会で「限られた時間だが、基本的には批判から提案という形で臨みたいと思いますが、提案さえできないお粗末な事例というのも、いくつか見受けられるので、そういったものは一つ一つ丁寧に拾いながら、大臣の資質も見極めながら、そして、私たちが求める人への投資、限られた財源をしっかり人に振り分けていく。そういう存在感を示せる国会に率先して、させて頂きたいと思うので、どうぞよろしくお願いします」と挨拶しました。

これまでの抵抗野党から脱却し、提案型にしていこうという意気込みは立派ですけれども、理想と現実は中々一致しないものです。今の民進党も御多聞に漏れません。

27日、衆院で安倍総理の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まり、民進党の野田幹事長が質問に立ちました。野田氏は冒頭、蓮舫代表の提案型で臨むという言葉に触れた上で、質問をしました。

その主な内容はこちらの民進党のサイトに予定稿があります。野田氏は次の項目について質問しているのですけれども、その項目について、"提案"に類する言葉がいくつあるかをカウントしてみると次のとおりでした。
災害復旧・復興、防災:1回:「財政健全化推進法案」を提案
消費税引き上げ延期 :1回:「給付付き税額控除導入にかかる法案」を提出
アベノミクス    :1回:「マイナス金利撤回」を提案
所得税改革     :0回
TPP       :1回:「情報開示、拙速な審議にしない、強引な採決はしない」ことを提案
中小企業      :1回:「中小企業社会保険料事業主負担軽減法案」を提出
年金        :1回:「社会保障の充実は、予定通り来年4月から実施」することを提案
子育て・教育    :1回:「来年度に給付型奨学金を創設」を提案
外交・安保     :1回:「領域警備法案」を国会提出
憲法        :0回
象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば:0回




全ての項目について、批判から始まっているのはお約束としても、一項目に一つの対案に言及するというのは、分かり易く妥当なところだと思います。

ただ、その中身をみていくと、「マイナス金利撤回」だとか「強引な採決はしない」などは対案とはいえず、「社会保障の充実は、予定通り来年4月から実施」も、既にあるものをやれというだけであって、提案というにはちょっと苦しいところがあると思います。

そして、筆者が何より気になったのは、提案、提案という割には、戦略の階層でいえば「戦術・作戦」といった下位階層のものが殆どであって、「世界観・政策」のような上位階層の提案が殆どなかったことです。

まぁ、所信表明に対する質問ですから、個別具体的になってしまいがちであるのは分からないではありませんけれども、例えば憲法に関するものであれば「世界観・政策」階層に踏み込んでいけるものであったにも関わらず、提案がないどころか、「議論したければ自民党の草案を撤回しろ」では、どうしようもありません。

逆にいえば、今回の代表質問で、民進党が提案できなかった項目、あるいは提案しても戦略の階層の下位階層でしか質問できなかったものは民進党の弱点だとも言えるわけです。

本来は「世界観・政策」階層でしっかりとしたものがあった上で議論しなければならない筈なのですけれども、民進党がこれらの階層で提案ができなければ、上位階層の戦略に飲みこまれていきます。

民進党がこれらの弱点を克服して始めて、健全な野党足りえるのだと思いますけれども、その道はまだ遠いような気がしますね。
 
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この記事へのコメント

  • sdi

    >基本的には批判から提案という形で臨みたい
    郵政選挙敗戦後の民主党前原執行部も「対案路線」を掲げて、政策で闘う方針をとりましたが失敗しました。
    永田メール事件のせいのもありますが、民主党支持者か前原執行部の掲げた対案路線が「不人気」だったのは間違いありません。前原党首辞任後の小沢執行部の「反対路線」を「対案をだすだのが野党の役割じゃない。自民党案に反対した問題点を洗い出すのも野党の役割だ」といって諸手で歓迎した人は多かったんじゃないですかね。
    民進党支持者が政策論争で敗北し続ける謝蓮舫執行部に我慢できますかね。
    2016年09月29日 01:48

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