今日はこの話題です。


数週間前に北朝鮮を襲った水害は、金正恩政権の足元を揺さぶっています。
被災現場である咸鏡北道は水害から3週間以上が経った今も復旧作業が続いているようです。
26日の朝鮮中央通信によると、咸鏡北道の隣に位置する咸鏡南道の工場、発電所では、復旧現場に送る支援物資と電力の生産に力を入れ、通常の3割増の発電をしているようです。
また、各地から食糧と食品をはじめ、30余種の4万数千点に及ぶ生活用品を送るなど、支援活動が行われていると報じています。
ただ、復旧作業の映像を見る限りでは、ひたすら人力に頼った作業のようにも見え、これは相当時間がかかるのではないかと思いますね。
それに、住民の不満も高まっているようです。9月20日、咸鏡北道の会寧市で、水害で夫と娘を失った女性が、職場に出勤しないことをとがめた朝鮮労働党の宣伝扇動部幹部に対して「あんた達は何もしてくれなかったのに、出勤しろだって?毎朝うるさく朝の動員に出てこいと触れ回っていた放送車が、水害が起きることを知らせでもしたのかい?そのせいでみんな無駄死にしたんだよ!……雨があれだけ降って、堤防が崩れたにも関わらず、誰か知らせてくれたのかい?みんな家の中にじっとしていて死んだのよ!それともあんた達は『高い所』に住んでるから、私たちみたいな下々の人間がどうなったって関心も無いんだろう?」と、激しく喰ってかかったそうです。
この女性は精神錯乱と診断され、地元の病院に入院しているそうなのですけれども、普通、公に党を批判するとタダでは済まない北朝鮮で、単なる入院だけで済ませているということは、普通に取り締まったら、暴発が起こるかもしれないと当局が考えているということです。
それだけ、水害のインパクトが大きかったということでしょう。
まぁ、実際の被災現場の状況が金正恩にまで伝わっているかどうか分かりませんけれども、報告が上がってなければ、地方当局の統制が盤石ではないことになりますし、報告が上がった上で、目こぼししているのなら、住民の怒りを宥める必要があると認識しているということです。
いずれにしても完全無欠の独裁状態ではないということですね。
こういうのを見ると、自然災害も被害とその復旧という意味では戦争と大差ないのではないかという気もします。
そんな中、9月22日、アメリカ政府のアーネスト報道官がのブリーフィングで、「一般論的に、そして北朝鮮と特定することなく言いたい。……作戦事案の1つである『先制軍事行動』は、事前に論議をしない」と語ったとの情報が流れたようです。注目すべきは、その先制攻撃を中国が認めたとも言われていることです。
防衛省関係者によると、「実は、安倍晋三首相が出席した国連総会でも、『中国の李克強首相とケリー米国務長官が接触し、中国が条件付きで、米韓両軍の北朝鮮への先制攻撃を容認した』という未確認情報が流れ、各国が情報収集に走った」という一幕があったそうですから、これが本当であれば、大きな転換点が迫っていることになります。
ただまぁ、こんな情報が流れてしまう時点で本当にやるのかどうか怪しいですけれども、この情報をわざと流して、金正恩の動きをトレースするというくらいはやるかもしれませんね。
いずれにせよ、この状況下で金正恩が、ミサイルをぶっぱなしたり、核実験をしようものなら、世界の目のみならず、北朝鮮人民に対する求心力すら揺らぎかねません。ちょっと様子見ですね。
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