昨日の続きです。


10月31日、韓国の朴槿恵大統領から機密文書を受け取り、国政に介入した疑いで、韓国検察に出頭していた崔順実氏が証拠隠滅の恐れがあるとして緊急逮捕されました。
崔氏は、出頭前に大規模な証拠隠滅を図った形跡があり、本人が心身共に不安定なことから踏み切ったとされていて、韓国の刑事訴訟法の規定に伴い、48時間以内に正式な拘束令状を請求するようです。何やら背後に大きな闇があるのではないかと勘繰ってしまいたくなる動きですね。
噂では、崔氏と親しい財閥夫人や広告プロデューサー、彼女の愛人とされる元ホストが居並ぶ「素人利権集団」が、大統領にどのように指図するかを秘密裏に話し合っていたとの証言すらあるようですけれども、事実とすれば大変なことです。
こんな話が堂々と公になること自体、相当求心力が失われている証左だと思いますね。
支持率も下落の一途を辿っています。
10月31日、世論調査会社のリサーチビューが韓国国内の携帯電話加入者1088人を対象に世論調査を行った結果、朴大統領の支持率は10.4%、不支持は81.2%に達しています。支持基盤の大邱・慶尚北道地方でさえ支持率は11%しかなく、ソウルでは8.3%、京畿道・仁川では9.7%と、1桁の支持率となっています。
ソウルで行われているデモも、デモ隊が届け出たコースを外れたり道路を占拠するのは違法行為であるにも関わらず、警察は「道路の占拠を中止し、歩道に上がりなさい」と繰り返し放送するばかりで、過去のように放水することはなかったようです。
警察も動かないとなると、あとは本当に戒厳令か下野しかなくなります。相当厳しい状況ですね。
既に、この問題は韓国の外交に影響を及ぼしています。11月に来韓するカザフスタン大統領との会談以外、新たなスケジュールは全て調整がストップした状態で、アメリカの新大統領との直接会談あるいは電話会談も先送りされる懸念があり、更に、年末の日中韓首脳会談も実現が不透明になっているようです。
韓国の国会は大荒れ。最大野党・共に民主党の文在寅元代表は、与党・セヌリ党が提案した中立的な挙国一致内閣の構成提案を拒否。朴大統領の断罪と共に、組閣権や政府運営権限の完全な国会移譲を要求しました。要するに政権を寄こせという訳です。
相手の失点に乗じるのは、まぁ、当たり前といえば当たり前ですけれども、では、政権を取ったら今の韓国を取り巻く状況を改善できるのかという点については、何も聞こえてきません。ただ断罪しているだけですね。
先のリサーチビューの世論調査では、朴大統領が引き続き大統領職を維持する場合、「韓国政府への信頼が回復する」という見方は15.8%、「悪化する」という回答は73.5%であるにも関わらず、「大統領を辞任すべき」という意見は37.7%、「大統領職を維持して挙国中立内閣を組織すべき」という回答は16.9%、「中立の特別検察官を任命して真相を究明した後、責任の所在を明らかにすべき」という回答は41.4%と、朴政権への不支持率81.2%に対して辞任を求める声はその半分以下しかありません。
これは、朴大統領の代わりはいないと思っているか、今は止めるべきではない、ということですから、国民も韓国を取り巻く状況が決して安心できるものではないと感じているのだと思いますね。
安全保障に経済、少なくとも友好国・同盟国の協力を最も必要とするこの時期に、内輪揉めしている余裕があるとは思えないのですけれども、支持率が10%では流石に持たない。レームダック状態のまま、何もできずに残りの任期を過ごすという最悪のパターンすら考えられます。
こちらも時間が経てば経つほど状況は悪化していきます。決断の時が迫っているのかもしれませんね。
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