現代のディストピア・北京

 
今日はこの話題です。

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11月18日、中国のポータルサイト・捜狐は、北京市において、スモッグを原因とする肺がん患者が、ここ10年で大幅に増えていると報じました。

国際対癌連合(UICC)の発表によると、北京市の肺癌発病率は10年で43%増加。発症年齢は若年齢化傾向にあるとしています。

肺癌は中国で、発病率、死亡率ともに1位を占め、死亡率は年4.45%のペースで上昇、2006年に行われた中国国民の死亡原因に関する第3回サンプリング調査では、肺癌は癌による死亡者全体の22.7%を占めていました。2015年、国際癌研究機関(IARC)は大気汚染を発癌原因として認定。大気中の粒子状物質、PM2.5は発がん物質だと確認しています。

これまで中国のPM2.5については、いくつかの記事をエントリーしたことがありますけれども、PM2.5、中でも粒子径1μmの微小粒子は、吸い込んでしまうと肺胞にまで達してしまいますから、その濃度や取り込み量にもよりますけれども、健康を害する危険が高いということです。

こちらに中国の大気汚染の度合をAQI指数(Air Quality Index)でモニタリングしているサイトがありますけれども、お世辞にもいいとは言えません。北京だけでなく、中国全土が似たり寄ったりです。国土が広い中国でこれは、相当汚れているとみていいと思われます。

そんな中、18日、澎湃新聞網はアメリカの科学誌『米国科学アカデミー紀要』で発表された、1952年のロンドンスモッグと中国の大気汚染との比較研究を紹介。ロンドンスモッグは暖房用の石炭が主な発生源であり、二酸化硫黄によって強酸性のスモッグが形成されたのに対し、中国では二酸化硫黄のほかに、火力発電所から排出される二酸化窒素、肥料や自動車排気ガスが排出源となる窒素も大気中に排出されており、これらが化学反応を起こして中和するため、汚染大気は中性になっている。故に、同じスモッグでもロンドンと中国のそれとは全く異なるという、なんとも反応に困る記事を掲載しています。

この米国科学アカデミー紀要の論文がどんなものなのか分かりませんけれども、汚染大気が中性になっているからといって、汚染粒子が消えて無くなる訳ではありません。

吸い込めばしっかり体内に入り、駒かい粒子は肺胞にまで達してしまいます。

北京市内では、鼻や喉をやられた子供たちが小児科に殺到し、多くの富裕層が、リゾート地・海南島に一時避難しているようです。また、移住できない北京市民は、比較的空気の綺麗な郊外の通州区に引っ越す人が増え、周辺の不動産相場が上昇。さらに、同じマンションでは、上階に行くほど大気中の汚染物質濃度が低いとされているため、10階以下の部屋の空室が目立つといいます。文字通りディストピアと化す有様です。

経済発展一本で突き進み、"大国"となった中国ですけれども、無理を重ねたツケが回ってきているともいえると思いますね。

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