中国に対する特恵関税適用除外について

  
今日はこの話題です。

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財務省は11月24日に開いた関税・外国為替等審議会で、「特恵関税制度」を見直し、中国やメキシコなど5ヶ国を対象から除外する方針を示しました。

「特恵関税制度」とは、開発途上国を原産地とする特定の輸入物品に対して、関税を低くすることで、開発途上国の輸出を増大させ、経済発展を促す主旨で設けられている制度です。

現在、143ヶ国に適用し、更にこれらの国のうち、後発開発途上国(LDC)47ヶ国に対し、特別特恵関税制度として、より低い税率を適用するなどの特別措置を行っています。

この特恵関税制度については、一定の条件を満たすことで次の三種類の適用除外となります。
1)全面卒業:世界銀行統計で3年連続して「高所得国」に該当した国については、先進国並みの経済発展を遂げた国として特恵対象から除外
2)部分卒業:前年に世界銀行統計の「高所得国」に該当した国について、全面卒業までの経過措置として、国際競争力の高い産品につき、国・品目を政令で指定して同制度の適用対象から除外
3)国別・品目別特恵適用除外:開発途上国の産品であっても、国際競争力の高いものは国及び品目を政令で指定して同制度の適用から3年間除外(再度要件を満たせば延長)
ここで、「高所得国」とはどういうものかというと、2016年においては、2014年時点で1人当たりの国民総所得が、12736ドル以上の国を該当としています。

過去この基準によって以下の国々が特恵適用除外となりました
平成12年度:韓国、台湾等、19の国・地域
平成15年度:スロベニア
平成18年度:バーレーン
平成19年度:仏領ポリネシア
平成21年度:サウジアラビア
平成23年度:オマーン、トリニ ダード・トバゴ、バルバドス
平成24年度:英領アンギラ地域等7地域
平成25年度:クロアチア
平成28年度:クック
現在、日本の特恵関税制度は対象国に大きな恩恵を施しているのですけれども、その適用実績をみると、一部の高中所得国に偏在している状況となっているようです。

そこで、今回その偏在を是正するため、特恵の対象国の範囲を見直し、高中所得国も特恵の卒業対象に追加することを検討したようです。

現在、高中所得国は意外とあって、最新の統計では、ブラジル、トルコ、中国、南アフリカ、タイ等、50ヶ国が該当するようです。
※中国は、国民総所得の総額は10兆ドル近くあるのですけれども、人口が多いので一人当たりに換算すると8100ドル程度で、高中所得国となります。

けれども、一度に50ヶ国を卒業させて、普通の関税を掛けてしまうのは影響が大きすぎるということで、卒業要件に以下の二つを追加するとしたようです。それは次のとおり。
①3年連続で世界銀行統計の「高中所得国」以上に該当すること
②世界の総輸出額に占める当該国の輸出額の割合が1%以上であること
※高中所得国:国民総所得が4125ドル超、12736ドル未満の国
従来の「高所得国」基準のみで該当する国(全面卒業)はウルグアイ、セントクリストファー・ネーヴィス、チリの3ヶ国。部分卒業はアルゼンチン産の農水産品1品目(ぶどう搾汁)であり、これらを適用除外する方向で進めるようです。

そして、それに加えて「高中所得国」まで対象を拡大した場合に該当する該当する国は、ブラジル、マレーシア、メキシコ、中国、タイの5ヶ国となるようです。適用は平成31年度を目指しているようです。

これら以外にも、中国は特恵関税の適用除外となっているものがあります。「国別・品目別特恵適用除外」です。

統計によると、平成25年から平成27年までの3年間で「国別・品目別特恵適用除外措置基準」に該当したのは、中国産の農水産品17品目、中国産の鉱工業品372品目及びタイ産の鉱工業品2品目です。

次の表は、現在、国別・品目別特恵を適用している品目のリストになりますけれども、中国のプラスチック製品など、何やら100円ショップが打撃を受けそうな品目が並んでいます。
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今回の特恵関税適用除外について、11月24日、中国商務部の沈丹陽報道官は「中国の国内総生産は世界2位の規模だが、中国は今なお開発途上国だ」と反発していますけれども、一人当たりのGDPで見ても、中国は既にブラジル、ベネズエラ、ルーマニア並になっています。軍備を拡張し、AIIBを設立して、周辺国にインフラ輸出をバンバンしている国が開発途上国だと叫んでも、ちょっと違うでしょうと言いたくなります。

その意味では、今回の特恵関税適用除外は妥当な処置であり、中国に対しては寧ろ遅すぎるくらいではないかと思いますね。

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