更に昨日の続きです。


11月2日、韓国の青瓦台は政府要職の新人事を発表しました。
朴槿恵は、新首相に盧武鉉政権で青瓦台政策室長などを務めた金秉準・国民大教授を指名。経済副首相には金融委員長の任鍾龍氏。国民安全処の長官には、金氏の推薦で、盧武鉉政権時代に女性家族部次官だった朴昇柱氏を充てる予定のようです。
金秉準氏は、盧武鉉元大統領との関わり合いが深く、腹心とも称されています。何故この人物がいきなり新首相に任命されたのかというと、韓国・最大野党「共に民主党」が盧武鉉元大統領の流れを汲んでいることから、野党の協力を取りつけ、難局を乗り越えたい狙いがあると言われています。
この人事について、青瓦台関係者は「朴大統領が新首相の権限について公の場で公表すると、大統領は二人になる。……金氏は内政大統領となり、朴大統領は内政から事実上、手を引く」と述べたそうです。
11月1日のエントリー「朴大統領は下野するか、それとも戒厳令か」の中で、韓国のジャーナリストで政治評論家の趙甲済氏がネットメディアに朴槿恵大統領の取るべき6つの手段を掲載していることを紹介しましたけれども、今回の人事についても、趙甲済氏が提案した内容の一つなんですね。
もう趙氏の提言をなぞるように、その通りに行っています。今回の崔順実氏の国政介入スキャンダルで、朴大統領は「あやつり人形」だったのではないかとの声がちらほら上がってきていますけれども、趙甲済氏の提言通りに動く朴大統領をみると、やはりそうなのかと感じなくもありません。
趙甲済氏の六つの提言のうち、もう三つはその通りになりました。残るは、
「朴大統領が『自分も調べを受ける』と宣言する」、「与党、セヌリ党を脱党する」、「下野はしないことを明らかにする」の三つです。
しかも「朴大統領が『自分も調べを受ける』と宣言する」については、既に野党などから朴大統領本人を捜査するよう求める声が強まっていることもあり、青瓦台関係者は「必要な時期が来れば熟考して決める」とか、「検察の捜査状況を見極めてから考える」などと述べているようですから、近いうちに実現するかもしれません。
となると、残るカードは「与党、セヌリ党を脱党する」、「下野はしないことを明らかにする」の2枚。内、「下野しない」は野党や世論の強い反発が予想され、安易に切ることができません。後は朴大統領が与党を脱党するしか残っていません。
いよいよ進退窮まった感じです。
新人事で、朴大統領が外交に専念することになっても、内政と連携が取れてなければ、その力も弱まります。慰安婦合意後、日本は既に約束の10億円を供出したのに対して、韓国側は慰安婦像の撤去はまるで進んでいません。
約束を守らない、守れない国にいくら外交交渉しても無駄ですからね。もし新首相となる金秉準氏が朴大統領を支え、連携していくならいいのですけれども、そうでなく、好き勝手にやるのなら、今以上のレームダックに陥るでしょうね。
いよいよ土壇場ですね。
この記事へのコメント
sdi
このスキャンダルが表面化して朴大統領が事実上無力化したのが、日本が韓国側飢饉に金を払い込んだ後。
まあ、偶然ですよ、偶然。
今回の事件の顛末は全て白日の下に晒されたわけではありませんが、朴大統領の崔順実氏に対する重用ぶりは、根底にあるので法治主義ではなくて人治主義というものではないでしょうか。
個人レベルでは崔順実氏が「孤独な朴謹恵にとって唯一の味方」ということになるのでしょう。それでも崔順実氏を重用するならそれなりの形式を整えてなにがしかの法的根拠を与える手段を講じるべきだったのに、報道を見る限りそれをした様子はありません。崔順実氏本人にも問題がありすぎて不可能だったのかもしれませんがね。
今の所、朴大統領個人の意識の無さの問題なのが救いといえば救いですかね。
不幸中の幸いは、アメリカ肝煎の日韓軍事協定が宙ぶらりんの状態で今回の事件が発覚したことですね。もし、この事件が発覚せずに軍事協定が結ばれた場合、崔順実氏経由でどこの国に情報が流出したか検討もつきません。