今日はこの話題です


12月2日、カジノを含む「統合型リゾート施設(IR)」整備推進法案が衆院内閣委員会で採決され、自民党、日本維新の会などの賛成多数で可決されました。
公明党は自主投票で、三人の委員は賛成一、反対二と対応が分かれ、民進党は採決に加わらず、共産党は反対しました。
当初、民進党は党内でギャンブル依存症対策が不十分だとする慎重論が多く、反対する方向で大串博志政調会長に対応を一任することになっていたのですけれども、どうやら棄権という形に落ち着いたようです。
まぁ、民進党はIR法案の審議を進めることにずっと反対していたのですけれども、これについて日本維新の会の松井一郎代表は「民進党が『なぜ急ぐのか』とバカなことをいっているが、法案は3年前に提出されている。3年間、何してたんや……政治的に僕に対する民進党の嫌がらせだ。彼らは国民の方を全く見ず、日本のことも考えず、党利党略、個人的な好き嫌いで物事を考える。まあ、バカな政党だと思う」と批判。
更に、IR法案をめぐる朝日新聞、毎日新聞の報道ぶりに関しても「朝日、毎日のネガティブキャンペーンにもう本当に参っている。『IR=依存症が増える』。何のエビデンスをもっていってんのかね……シンガポールではIRができ、依存症対策をしたことで依存症患者は減っている。でたらめなことがどんどん伝わることは非常に問題だ」と述べています。
というのも統合型リゾート(IR=Integrated Resort)の誘致を目指す大阪市の吉村市長がシンガポールの大規模なIR「マリーナベイサンズ」「リゾートワールドセントーサ」を視察しているんですね。
視察後、吉村市長は報道陣に対して「ギャンブル依存症は対策を講じることで効果を挙げられると感じた。世界の都市間競争に勝ち残っていくためにも、こうした施設を誘致したい」と述べています。
現在、シンガポールでは以下のとおりの依存症対策を行っています。
■ カジノ入場税こちらにレポートされていますけれども、これらの対策によって、カジノ誘致前に懸念されていたギャンブル依存症ですが、2010年のカジノオープンから2016年にかけてギャンブル依存症比率は過去最低水準まで右肩下がりに改善しているそうです。
■ カジノへの21歳以下の入場禁止
■ 国民と永住者への与信の禁止
■ 銀行ATMのカジノ内への設置は禁止
■ ギャンブル中毒者がカジノ入場を禁じる拒否命令の発行権限を与えられたギャンブル依存症国民協議会(NCPG)の設立
上述のシンガポールで行われている対策を掻い摘んでいえば、ギャンブルができる場所を限定・隔離した上で自由に金を引きだせないようにしているという印象です。隔離という意味ではネバダの砂漠にあるラスベガスもそうかもしれません。
そして、ギャンブルからの隔離という意味では、日本は全く行われていません。特に容易に金を引き出せるという意味では、大体どの駅前にもあるパチンコなどはその際たるものでしょうね。
実は、今回のIR法案もカジノ以外も含むギャンブル依存症対策の強化やIRを設置できる区域の認定数に上限を設けることなどを求めた付帯決議も可決されています。
その条文はまだ見ていないのですけれども、シンガポールの例を参考にするのなら、ギャンブルができる区域を限定し、更に其処には銀行ATMを置かないという施策が考えられます。
ただ、現在、パチンコは俗に言う「三店方式」に守られた、ゲームという皮を被ったギャンブルという扱いですから、上記の対策が施されるにしても、パチンコは対象外の扱いになる可能性が高いと思われます。ただ、他のリゾートカジノに幾許かの客が流れていきますから、全くの無風という訳にはいかないと思いますし、ギャンブル依存症対策の強化に伴い、パチンコも、今のままでの存続は段々、許されなくなる方向に圧力がかかるのではないかと思いますね。
この記事へのコメント
sdi
カジノ法案が成立したことで、パチンコ店の場合も以下の行為と犯罪として刑法で処罰できるようにすることが肝心でしょうね。
本当なら、2番目はパチンコ店の周囲何mという規定が必要だと思いますが、今のパチンコ店の立地を考えると厳しい。
■ 国民と永住者への与信の禁止
■ 銀行ATMのカジノ内への設置は禁止