蔡英文外交とトランプのアメリカ・ファースト

 
今日はこの話題です。

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1月8日、台湾の蔡英文総統は、中米訪問の途中立ち寄ったアメリカのテキサス州ヒューストンでテキサス州選出のクルーズ上院議員やアボット州知事と相次いで会談しました。

更に、台湾メディアに依ると蔡総統は、共和党重鎮のマケイン上院軍事委員長と電話協議し、前日の7日には州選出の他の連邦議員とも面会したと報じています。

クルーズ上院議員とは、宿泊先のホテルで約50分間会談した蔡総統は、アメリカと自由貿易協定(FTA)を締結したいと伝え、マケイン上院軍事委員長とは、米国防権限法で米台の軍高官交流が緩和されたことに謝意を表明したそうです。

要するに経済・安全保障の両面で協議をした訳です。
※余談ですが、蔡総統は「ハローキティ」が描かれた飛行機に搭乗してきたそうです。どことなく台湾はブルーチームに属すると暗黙の意思表示をしているのではないかと勘ぐってしまいます。

会談後、クルーズ氏は声明で、中国側から自身やテキサス州選出の連邦議員団が蔡総統と面談しないよう要請があったことを発表。「この件に中国は関係ない。米国と法的に防衛義務を負う台湾との話だ」とコメントしています。

中国は元々、蔡総統がヒューストンに立ち寄ることからして、認めないようアメリカに要請していました。それが失敗すると、今度は会談するなと要求してくる。それをクルーズ氏が暴露したということは、余程腹に据えかねていたのでしょうね。

これに対して、中国の環球時報は8日の論説で「一つの中国の原則堅持は、中国から米大統領に対する気まぐれな要請ではなく、両国関係の維持とアジア太平洋地域の秩序尊重に向けた米国大統領の義務である。……もしトランプ氏が大統領就任後に一つの中国政策を守らないなら、中国国民は政府に報復を求めるだろう。交渉の余地はない」と警告しています。

筆者は、先日「2017年はどんな年になるか」のエントリーで紹介しましたけれども、トランプ氏は「アメリカを再び偉大な国にするための就任100日の行動計画」の「ワシントンD.C.内の特別な衝突を一掃する6つの政策」の中で「外国政府を利するロビー活動をした職員は、永久にロビー活動を禁止する」と宣言しています。

要するに、トランプ政権はロビー活動には厳しい対応が予想されるのですけれども、特に「一つの中国の原則堅持はアメリカの義務だ」とか「交渉の余地はない」という中国の居丈高な対応が通用するのか疑問です。

朝鮮半島有事とトランプ大戦略」のエントリーで、筆者はトランプ氏は「台湾カードを使って、中国に北朝鮮との縁を切らせようとしているのではないか」と述べたことがありますけれども、中国の「交渉の余地はない」という表現は裏を返せば、"アメリカはこれを交渉材料と考えているのだろう"と受け止めていると取れなくもありません。

トランプ氏は"アメリカ・ファースト"を掲げて当選しました。トヨタがメキシコに工場を建てるというだけでアメリカに建てろと圧力を掛けるくらいです。

中国が"アメリカ・ファースト"を脅かす行動を取るのであれば、やはりそれなりの衝突は起こる可能性があると見て置いた方がいいかもしれませんね。

この記事へのコメント

  • 774

    民主党オバマ時代の中国は、米の富を吸い上げる形で“繁栄”していた。
    しかしトランプは、関税を主たる武器として中国への富の流出を止め、米経済の復活と、中国共産党体制の“経済的没落”を仕掛ける予定である。トヨタへの警告は、その流れの中の一環である。
    2017年01月10日 09:37
  • ス内パー

    「アメリカはひとつの中国を支持する。それは台湾政府のことだ」
    とG7で返されたら(そしてその場へ祭さん呼んで根回しされてたら)習は発狂するでしょうねぇ。トランプはそういうことやらかす人物なのでここまで警戒されてるんでしょうが。

    未だに中国の損切りが済んでいないフランスドイツがこの流れにどこまで着いていけるか、オーストラリアも切り捨てる覚悟が済んでいるか(一応白人国家ですしね)のアメリカの認識が知りたいとこですね~
    2017年01月10日 09:41

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