今日はこの話題です。


1月25日、アメリカのトランプ大統領はメキシコ国境に壁の建設を命じる大統領令に署名しました。
これは、不法移民の取り締まりを強化するためのもので、選挙公約の柱の一つでした。
それはそれで公約通りではあるのですけれども、無論、タダで出来る筈もありません。メキシコとの国境の全長は約3145kmあります。
共和党上院トップのマコネル院内総務は壁建設にかかる費用を120億~150億ドル(約1兆4000億~1兆7000億円)と見積もっているようです。
この額はアメリカの年間国道管理予算の三分の一近くに相当する莫大な額です。
トランプ大統領は選挙戦当時からメキシコに壁建設費を支払わせると主張してきましたけれども、メキシコ政府は、支払いを断固拒否。メキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領は、来週に予定されていたトランプ大統領との会談を中止すると発表しました。
これに対して、トランプ大統領は関税を掛けると発表しました。
ホワイトハウスのスパイサー報道官は「包括的な税制改革で、メキシコのような貿易赤字を抱える国からの輸入品に課税することを検討している。これで年間100億ドルが捻出され、壁の建設費を簡単に賄える」と述べ、税率は20%を検討中だとした上で、メキシコ以外の国からの輸入品への課税についても「貿易赤字を抱えている国を検討している」とコメントしています。
けれども、いくら関税を上げてもその金は製品を国外に輸出する企業ではなく、輸入側となっています。つまりこのトランプ・ウォール政策はまず最初にアメリカ国内の輸入業者を圧迫することになります。
当然、輸入業者は、生き残る為に、仕入れ価格のアップに伴う値上げと、同時にもっと仕入れ原価の安い代替品を探すことに奔走するようになるでしょう。
要するに近々にはアメリカの国内消費者への負担増となる可能性が極めて高い。一部にはそのような指摘もあります。
けれども、それがさらにずっと続いていくとどうなるか。各企業は、国外からの輸入と国内での生産を天秤にかけ、より安いところからの調達を考えるようになる筈です。結果、アメリカ国内で生産し、国内で消費するといった"自己完結型"の社会構造への変化が起こる可能性があります。
関税という高い壁を設け、壁の中で作れば売れる、ということで、世界中から生産工場を誘致させる。トランプ大統領は、それを狙っているのではないか。逆にいえば、そういう流れを起こさせるだけのバカ高い関税を掛け、相対的にアメリカ国内を楽市楽座にする。そんな狙いがあるような気がしますね。
果たして、その値が関税20%なのかどうかは分かりませんけれども、かなりな劇薬であることは間違いありません。何より、アメリカ国内で殆どが賄える"楽市楽座"を作り出すまでの期間をアメリカ国民が耐え、トランプ大統領を支持し続けられるかどうかが肝になります。
やはりトランプ大統領はスタートからクライマックスのような感じがしますね。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
必ず保護主義から始まっているのは歴史上の常識。
消費者は生産者でもあるのだから輸入物価の影響は単純ではない
トランプ大統領はアメリカのやり直しを狙っている。
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中国包囲網の序章ですな(爆