朝鮮半島有事とトランプ大戦略
今日はこの話題です。
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昨年11月末から12月3日にかけ、在韓米軍が避難する米市民を輸送する「非戦闘員救出作戦(NEO)」訓練を行いました。
この訓練そのものは毎年行っているのですけれども、韓国から沖縄の在日米軍基地まで輸送する今回の訓練は、2010年以来6年振りとのこと。今回は関係者の自由意思で米兵の家族など60人が参加。米兵の家族は常に避難用の荷物をまとめておくことが奨励されていて、持ち出せる私物は1人当たり60ポンド(約27キロ)まで。
避難訓練の参加者には居場所を把握するための腕輪が配られて保安検査が行われ、登録の過程で生物テロから最大で12時間身を守れる防護服の装着訓練も行われるそうですから、相当本格的です。
何でも避難訓練には避難手順を体験してもらうだけでなく、軍が家族の安全を保証することで韓国に残って危機対応に当たる兵士たちを安心させる目的もあるそうですから、ここまでかっちりしておくのかもしれません。
訓練の参加者はソウルから車で約1時間かけて南部平沢市のハンフリーズ基地へ移動し、待機していた軍用ヘリ2機に乗り換え、大邱にあるウォーカー米軍基地に移動、そこで一泊してから、車で山間部を通って韓国空軍の基地へ行き、米空軍の輸送機C130に乗り換えて、沖縄へという一泊二日の工程。
60人の避難でこれ程大掛かりなのですから、実際の避難となると何万人もの民間人を一週間程度かけて移動させる必要があり、軍幹部によると「列車やバス、民間交通機関の方がはるかに効率的だ」というのが実態のようです。
このタイミングでの在日米軍基地までの避難訓練ということで、一部からは有事が近いのではないかという見方も出ているようです。
それを裏付けるかのように、韓国国防省は金正恩ら北朝鮮指導部を排除する特殊部隊、特殊任務旅団を年内、それも早期に創設すると発表しました。
これは、従来の特戦団1個旅団に低高度浸透が可能なUH-60ブラックホークやMC-130輸送機を中心とした低高度浸透が可能な戦力を補完して作られるようです。
要するに「斬首戦略」ですね。
元々この部隊は2019年に創設される予定だったのですけれども、北朝鮮が核・ミサイル能力を向上させていることに加え、昨年11月に北朝鮮が特殊作戦大隊を編成し、韓国大統領府への奇襲攻撃訓練を実施したことを受けて前倒ししたようです。
ただ、斬首戦略はターゲットの位置を捕捉出来ていなければならないという大前提があります。つまり、金正恩の居場所を捉えていなければならないということですね。これについて専門家の間ではその能力を疑問視する見方もあるようです。
では、単なる牽制だけなのかというと必ずしもそうともいえないと思います。なぜなら、トランプ次期大統領が北朝鮮に対する強硬姿勢を見せているからです。
今年の元旦、北朝鮮の金正恩委員長が新年辞でトランプ次期大統領に「我々の門前で戦争演習騒動を止めないならば、核武力を中枢とした自衛的国防力と先制攻撃能力を引き続き強化する。……大陸間弾道ロケット試験発射準備が最終段階に達した」と威嚇したのですけれども、それに対して、トランプ氏は「そのようなことは起きないだろう!」と直ぐ様、反応しました。
これだけならば、単なる売り言葉に買い言葉に聞こえるかもしれませんけれども、その次にトランプ氏が発したツイートに筆者は注目しています。それは「中国は完全に一方的な米国との貿易で莫大な金や富を奪っている。それなのに、北朝鮮に関しては助けない。素晴らしい!」というものです。
これは見るからに皮肉と分かるツイートなのですけれども、トランプ氏は別の場面で「中国は北朝鮮の核問題も全く助けてくれないのに、なぜ『一つの中国』の原則にとらわれなければならないのか」とも発言しているのですね。
トランプ氏が台湾の蔡英文総統と電話会談し、「一つの中国」に縛られない発言をしたことは周知のとおりです。
これらを合わせて考えると、台湾カードを使って、中国に北朝鮮との縁を切らせようとしているように見えます。要するに、「一つの中国」を認めて欲しければ、北朝鮮への援助を止めて手を切れ、という具合に踏絵を迫ったということです。
もしも、中国からのバックアップがなくなった北朝鮮は孤立します。そうなったら後は何とでもなる。もしかしたら、トランプ氏はそうした構想を描いているのかもしれない。
だとしたら、相当な戦略家かもしれません。トランプ氏の動きは、一段大きな視点から見る必要があるのかもしれませんね。
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